第1章・超越♥愛
①Pack・愛は全ての壁をぶっとばす
第1話
ある日、
牧場の一人息子が、牛にむかって憂鬱な顔をしてつぶやいた。
『なぁ、みるくよぉ。俺って、なんで、彼女ができねぇんだろ』
小さい頃から世話をしてきてすっかり情の移ったこの雌牛は、少年にとって唯一の異性の友達だった。
なんと悲惨なことよ。
齢十七にして女の子と付き合ったことはおろか、手をつないだこともないのだ。そのうえ友人が、女は女でも『牛』なのだ。
そんな少年を見て人は言う、
曰く、不憫である、と。
まぁ、そんなかんじに、この少年・ジローの朝が始まる。
my牛・みるくに餌を与え終えると、まもなく、男友達のタケルが自慢のバイクで迎えにきた。
今日も公道をバイクで走りまわるのだ。
少年達には、それしかやることがなかった。
「んじゃ、行ってくるな」
雌牛みるくは、変わらぬ静かな瞳でジローを見送った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます