第8話

住み込みで働いている牧場の従業員・ナンちゃんこと、南條義秋(男)だ。


牛の世話の途中たまたま通りかかり、

裸の女の子に触れているジローの姿を見て悲鳴をあげた。



「イヤー!!!

なんて破廉恥な事をしてるの!?

女の子を、こんな牛の糞だらけの場所で裸にするなんて」




ナンちゃんは険しい顔をしてジローの肩を左手でがっしり掴むと、

右の拳でおもいっきりジローの顔を殴った。



「わたしはあんたをそんな子に育てた覚えはないわ!」



どうやら、ジローが間違いを犯したと勘違いしたらしい。


「違うー!

このコが勝手に裸になってたんだ!」




ジローは必死に弁解しようとするが、ナンちゃんは聴く耳を持たない。

顔を手で覆い、絶望して泣き崩れた。


「なんて救いようのない子なの・・・」



女の子は、そんなナンちゃんの肩をそっと撫でた。

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