第9話

「ナンちゃん、泣かないで」



ナンちゃんは肩を撫でる女の子の手を握った。


「ありがとう。

お嬢さんは優しいのね。家のジローが酷いことをしたってのに。

ジローに代わって謝ります。謝って許されることじゃないけれど・・・」

シクシク・・・


ナンちゃんは言い終える前にまた泣き崩れた。



「だーかーらー!違うッつってんじゃん!!」


ジローがツッコミを入れるがしかし、



「言い訳なんか聞きたくないわ!

わたしと親父さんが一生懸命頼み込んでやっと入れてもらえた高校を結局停学になっちゃって、それに、こんな人の道に外れた事までしでかすなんて・・・

親父さんが知ったらどんなに悲しむことか・・・」




「だから、違うって・・・」

突っ走るナンちゃんをもう誰も止められない。


「もういいわ!

あんたの顔なんか見たくない」


ナンちゃんは、そのガッシリした体で女の子をひょいっと抱き上げた。


「お嬢さん、恐かったでしょう。あんなの放って行きましょうね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る