第37話

ジローは部屋に無造作に散らばるきらびやかな女物の服の数々を眺めた。


「まともな服が一つもねぇ。」



ジローは昨日の出来事も含めて、もう勘弁してくれと言うようにため息を吐いた。



昨日、2階の部屋に閉じこもってからみるくが自分のドレス姿を見せびらかしに来て、それを冷たく突き放したところ、

みるくはドレスが気に入らなかったと思ったのか、服を取っ替え引っ替えしてなんとか褒めてもらおうと布団に潜り込んだジローを引っ張りだしたのだ。



今朝は、その取っ替え引っ替えした服が溜まって残っていた。



ジローがうーんと唸って、


「何を着たい?」


と、聞いて、みるくが指差したのは、

やっぱり最初に着た白いスパンコールのイブニングドレスだった。


ジローは苦い顔をした。


「それはダメ。」


「どうしてなの?嫌いなの?」



「うん。大嫌いなの。」



「そっかぁ。」


みるくは残念そうな顔をして渋々と布団から立ち上がり、セーラー服を手に取ると、コレを着ると言った。

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