第40話

「ナンちゃーん!助けてくれー!」


ジローは家を飛び出し、牛の世話をしているナンちゃんの元へ走った。


「そんなに慌ててどうしたのよ。」



まるで茹でダコのように真っ赤な顔のジローに、ナンちゃんは驚いた。



「あのさ、あのさ、ヤバイんだよ。」



息を切らしながら血走った目で話すジローに、



「どうしたのよ。あんた、怒ってんの?」



「いや、別に怒ってないけど。」



「じゃあ何で、そんな赤い顔してんのよ。」



「とにかく、ヤバイんだよ。みるくがさぁ。」



「みるくが?」



「何か訳わかんねぇんだ。乳がさ、乳が、パンパンでボーンとなって、ピュッて出たんだよ。乳が牛乳だったんだ。」



「あんたが訳わかんないわよ。」



「とにかく、来てくれ。あいつ、苦しそうなんだよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る