第58話
やがてスクーターは寂れた商店街を抜けて、派手な看板が立ち並ぶ裏通りへと出た。
坊主は、その中でも一際目に毒なきついショッキングピンクの看板の店の前でスクーターを停めた。
「さぁ、着きましたよ。ここであなたは金を稼ぐのです。」
みるくはスクーターから降りると請うる気持ちで坊主の服の裾を掴んだ。
「やっぱり牧場に帰る。みるく、また牛に戻りたいよ。それで、ジローくんの側にいたい。」
坊主はため息を吐いた。
「今更何言ってんだこのアマ。牧場に帰るだ?寝言は寝て言え!」
みるくは突然態度の変わった坊主に驚いて、言葉を失った。
みるくの瞳にたちまち涙が溢れてきた。
「みるくは帰るんだもん。絶対帰る!」
ほっぺたをぷぅっと膨らませて、目に涙をいっぱい溜めながら怒った。
「あー、うぜぇ。」
坊主は唸りながら、みるくの手を引っ張った。
「イヤ。帰る!帰るの!」
みるくは自分の手を掴む坊主の腕を力いっぱい叩いたが、男の坊主に敵うことはなかった。
それでも必死で叩き続けるみるくに坊主は呆れて言った。
「みるくさん。往生際が悪いですよ。コレはあなたのケジメなのですから。」
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