第57話
ジローとの思い出の見晴らしの丘も通り過ぎ、
坊主のスクーターは山の上の牧場から坂を下り、街の中へと走っていく。
向かい風が手を冷たくする。
牧場にいた時は下に望んでいた街の風景も、山を下りれば同じ目線に広がっていた。
ここはどこなんだろう?
人の臭いが充満している。
耳が痛くなりそうな雑踏に、威圧するように立ち並ぶ建築物。
山の空気の清んだ穏やかな場所で生きてきたみるくにとって、街の世界は怖い所だった。
ジローと眺めていた時は、すごく綺麗な風景だって思ってたのに。
スクーターはいくつもの交差点を渡り、迷路のような街を深くに進んでいった。
牧場ではあんなに大きくて広かった青空が、
今はもう、
脅すように上から見下ろす建築物の間から、尖った鋭い青い色がのぞいているだけだった。
恐いよ…
皮膚に淀んだ泥がまとわり付いてきて、身動きができなくなりそう。
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