第46話

坊主が咳払いした。


「お金の方は払っていただけるんでしょうか?」


ナンちゃんはすかさず、

「無理に決まってんでしょうが。」



「ですが、こっちとしても、ケジメをつけていただかないとなりませんので。」



「ケジメって何よ。だいたいねぇ、お金はあたしとジローだけじゃ判断できないわ。親父さんがいないと。」



「親父さん?」



「親父さんが一家の大黒柱だもの。」



坊主は視線をナンちゃんから逸らし、指を指して言った。


「…そこにいてますけど。」



坊主が指差す先に、ジローの隣りで、セーラー服姿のみるくを褒めまくり舐めるような視線で見ている親父の姿があった。


そして、坊主はまた古びた鞄から請求書作成用紙を取り出し、親父に渡した。

「親父さん。こちら請求書になります。早急にお支払いください。」

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