第69話




 みるくはナツキに手を引かれて、路地の突き当たりにある《雪月花》という看板のスナックの中に入った。



「お母ちゃんただいま。ごみ出してきたで。おらんの?お母ちゃん?」



スナックの店内はシンと静まりかえっている。



「どうやら寝とるな。さっきまで起きてたんだけど。まぁ座りな。今、茶菓子用意するから。」



みるくはカウンター席に座って、カウンター内でゴソゴソ物探しをするナツキを見ていた。


ナツキはみるくの視線に気付き、

「ごめんな。おっちゃんらの食べ物しかないわ。勘弁してね。」


と、サラミと柿の種とチーカマを出した。


そして慣れた手つきで紅茶をいれると、得意げにみるくの前にだした。


「このアールグレイは絶品だよ。」


出されたその紅茶に鼻を近づけると、何とも言えない絶妙な臭いがした。


みるくはそれが珍しくて、しばらくその臭いを嗅いでいた。


「これ、飲めるの?」



「紅茶飲んだことないの?美味しいよ。砂糖入れてあげようか。」


ナツキはみるくの紅茶に角砂糖を入れてスプーンで溶かした。

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