第169話

「君はもう人間なんだ。牛だった頃のように動物と仲良くなんてできないよ。」



そうだ。アイジの言うように、雌牛だった頃のみるくの背中にはよく鳥がとまりに来ていた。

みるくもそれで自分の元にも鳥がやってきてくれると思ったのだろう。

しかし、人間になってしまった今、牧場で動物の中の一匹として暮らしていたのとは事情が変わってしまっていたのだ。




「人間の思念は、凶器のように強すぎるんだ。」



「…どうして…」




みるくが気の抜けた声で呟いた。




「君は、人間界という地獄に来てしまったんだよ。」





冷めた声で言い放つアイジに、みるくは言葉を失った。






「みるく!!」




すると、ジローの声が沈黙を破った。

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