第25話

「もう、この話は無しな。お前が俺の昔のこと知ってるのは分かったから」



「みるくのこと、信じてくれるの?」



「そうだな。とりあえず半分は信じた」



「半分?」



みるくはジローの顔を覗き込んだ。



「こっち向くなよ。見えちまうだろ」



ジローはそう言ったきり、考えたくないという風に押し黙り、

向き直ったみるくの背中を洗った。



しばらく無心で手を動かしていたが、ふと、気付いた。



(そう言えば、みるくの体を背中の部分しか洗ってない)



「自分で洗えよ」


ジローはタオルをみるくに渡した。

「俺は出るから」



しかし、出し抜けにタオルを渡されたみるくはどうしていいか分からず、オロオロしだした。



「どうすればいいの?」


「全身をそれで擦るんだよ」


ジローが出ようとドアノブに手をかけた時、

みるくはジローを引き留めようと服の袖を掴んだが、

その拍子に足下の泡に滑って勢い余り、ジローに抱き付いてしまった。

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