第四世代世界システムへの飛躍
女神フィルミアは、再び茫然と管理ディプレイを見つめていた。
リストア後に無事再
「結局ダメだったわね……。ティアちゃんも、史郎さんも、二人ですごく頑張ってくれたし、前回よりは少し持ちこたえたんだけど……。結局こうなるのね。いったい、なぜなの⁉」
フィルミアはどうしても納得できない様子で思考を巡らせた。
設計に不備はないはず。実装も問題はないはず。
彼女は困惑を隠せないが、ため息をつきながらも、気を取り直そうとする。
「もう一度世界を
超記憶は、レベル2からの継承だと前回の記憶から予知夢という形で情報を引き出せるのだ。フィルミアは少し期待するような表情を浮かべた。
「先輩、またダメだったんですか?」
そこへ突然、女性が転移してきた。
「あぁ、イサナミア、来てくれたのね。そうよ、またダメだったわ」
彼女は地球の管理神。フィルミアの仲間だ。
「そうですか。ところで、電子情報ベースのデータとAIプログラムの変換ツールの件、用意できました」
「そうなの! ありがとう! きっとそれが史郎さんのさらなる助けにもなるわ」
システムの制限上、リストアポイントは変更できない。そのことを恨めしく思いながらも、次回の進展を期待しつつ、フィルミアは再び世界の
◇
「ふむ、フィルミアもかなり参っているようだな。フィルディアーナを再びリストアしたか」
別の神の白い空間。何もない場所。一柱の神が、
「シロウを再び使うようだが……。しかも、ティアがあのスキルを使ったようだな……特別に少し助けてやるか……」
◇
「あれ、ティアちゃんの魂のステータスに警告?」
フィルミアは、ふと管理画面で警告メッセージが表示されているのに気づいた。
ティアの
「おかしいわね、ティアちゃん、そんなに何を処理する必要があるんだろうか……? 彼女、頑張り屋さんだからね……。まあいいわ、とりあえずコア数を上げておいてあげましょう。多いにこしたことはないわね!」
コア数とは、精神が同時に処理できる魔法の数だ。コア数が多いと、魔法の同時発動が可能になるのだ。
◇
「あー、もう! どうしてこうなるのよ!!」
フィルミアは、三度目の、
「ティアちゃんも、史郎さんも、ミトカちゃんも、三人ですごく頑張ってくれたし、今回はさらにうまくいったけど、最後には結局こうなるのね……」
設計製作した彼女自身でさえも理解できない現象に、完全にお手上げだと彼女は頭を抱えた。
フィルディアーナ世界は、フィルミアが率いるグループが全力を挙げて作っている、次世代システムのプロトタイプなのだ。
神界でも大半の世界システム開発者から支持されている最新のもので、皆からの期待は高い。サティアス率いる第一世代のグループを打ち負かす切り札になるはずのシステムなのだ。
なので、なぜかうまくいかないこの状態に、神であるにもかかわらずフィルミアに焦りが出てきた。
「そうね、こうなったら、史郎さんの設計と実装、そしてツール類をもっと積極的に取り入れて、世界の簡略化と安定化と強化を図るべきね。彼の世界システムに対する理解は素晴らしいものがあるわ。第三世代のアーキテクトである女神の私でさえ感心するくらい」
そして、彼女は意を決するような表情をする。
「そして史郎さんには、もっと権限を渡して手伝ってもらいましょう。今回の周回で、彼が作ったAIが役にたつということが証明されたし。それに、もうすぐ変換ツールもレベル2まで行けそうだとイサナミアも言ってたわね」
そう決心したフィルミアは、ここにきて世界システムの大幅改良を行うことに決めた。
「史郎さんの作ったアーキテクチャーを追加で取り入れるにはしばらくかかるだろうけど、この際仕方ないわね。次こそ原因究明して安定
彼女はやや開き直りつつも決意を新たにすることにした。
「ところで、ティアちゃんのコア数がまだ足りなさそうだから、もっと増やしてあげましょう……。史郎さんのAIに自我を付加するのに、ティアちゃんの魂にも手伝ってもらいたいしね……」
次回こそはとの強い思いと意志を込めて、フィルミアはせっせと世界システムのアップグレードに取り組むのであった。
◇
「ほー、フィルミアめ、フィルディアーナの世界システムを大幅改良の上、再びリストアしたか。しかもシロウに相当入れ込んでいるようだな。まあ、当然といえば当然か。ティアも、もう一度スキルを発動させたようだが……。さて、どうなることやら……。いや、おそらくこれが最後の周回になりそうだな」
再び、別の神の白い空間。一柱の神が
◇
後に、第四世代世界システムの起源と呼ばれることになるフィルディアーナ世界の再稼働、そして、その世界の危機を救うある天才プログラマーの冒険がここに始まるのである。
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