56.幕間2:神界にて2

 ここは、フィルディアーナの白い管理室。フィルミアとイサナミアは、世界の定期チェックの最中だ。


「今のところ特に異常はないようね。史郎さんもやっと街へ着きそうだし」

 と、フィルミア。


「そういえば」

 と、イサナミアがフィルミアに話しかける。


「サティアス師匠が、またまた、第四世代システムでの微生物の挙動について聞いてきましたよ」

「サティアスが、また?」とフィルミア。

「うん。DNAベースの微生物とオドの干渉、オド相転移の可能性についてでした」

 と、イサナミアは説明した。


「へー……えらく専門的、というか、特殊な内容ね」とフィルミア。そして、

「いったい彼は何をしようとしているのかしら?」

 と、不審に思いながらつぶやく。


 オド相転移とは、オドが、マナ・魔力・瘴気などに変化することだ。


「さー、私には師匠の考えが分かりませんが、何か面白い研究テーマでも見つけたんでしょうかね? サティアス師匠は最近かなり第四世代の事を調べているようですから」

 と、イサナミアは軽く言った。


「そうなの? なんか怪しいわね」

 と、信じられないと言うような顔でつぶやいたフィルミア。


「DNAベースの微生物とオドの干渉って、なんか引っかかるんだけどなー」

 と、イサナミアは、ふと思う。昔なんかあったような……。そして、

「まあ、いいか……。微生物と言うと発酵……。発酵と言えば、味噌・醤油。そうだ! 史郎さんに味噌と醤油を送っておこう!」

 と、イサナミアはすっかり話を切り替えて、次に史郎に贈る物は何かと考え始めるのであった。

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