エピローグ
エピローグ
「はぁ、さすがに数ヵ月のブランクはつらいな……」と史郎は愚痴をこぼした。
フィルディアーナに行っていた数ヵ月のあいだ、まったくコーディング作業をしていなかったので、いや、それ以上に濃い時間を向こうで過ごしたので、行く前に完成させたばかりのシステムのコードがすっかり頭から抜け落ちたのだ。
これだけ複雑なシステムになると、コーディングにも勢いが大事で、あいだが開くとつらいものがある。記憶力強化はどこにいったんだとぼやく史郎。
「史郎、ボケ防止にちょうどいいですね」とミトカが史郎につっこんだ。なんか、ミトカの性格が間違った方へ行っているのは気のせいだろうか? と史郎は困惑した。
ちなみに、ミトカは生体ボディだ。地球では魔術が使えないからだ。
「史郎先輩、大丈夫ですよ、史郎先輩ならなんでもできます!」と琴音が史郎に優しい言葉をかけた。琴音はこの夏休み中、よく史郎の家にきている。
そこへ、ピンポーンという音が。
「ん? 誰だ、こんな時間に?」史郎はドアを開けた。
「史郎さん、お久しぶりです」と、そこにはフィルミアが立っていた。
「え、フィルミア様?」と史郎は驚きの声を上げる。
「「あー、フィルミア様、こんにちは!」」
ミトカも琴音もドアのほうに来てあいさつした。
すると、フィルミアの後ろから人影が現れた。
「こんにちは。やってきた」と、声を出した人物をみて、みんなが驚いた。
「シェスティア! え、地球に来れるようになったのか⁉」
「そう。みんなを追っかけてきた」とシェスティア。
「ふふふ。やっとフィルディアーナから地球方向への変換が限定的ながらできるようになったのよ。まあ、私が地球に顕現する方法と同じような手段だけど。史郎の加護付きなので特別ね」と笑顔で言うフィルミア。
「フィルミア様が来たということは、準備が整ったということでしょうか?」
史郎は期待に満ちた笑顔で聞いた。
「ええ、そうよ」とフィルミアは満面の笑みで答えた。
「こちらはいつでも大丈夫です。いつでも行けるようにと準備はしてあったので」
「私たちもよ」と琴音とミトカ。
「そうですか、では、参りましょう」とフィルミアは両手をパチンとたたく。
フィルディアの掛け声とともに、全員が光り輝き、姿を消した。
消える寸前に見せた四人の表情は、これから可能になる新しい世界にたいする、期待に満ちた笑顔なのであった。
了
天才プログラマー魔術をマスターして美少女AIと共に世界を救う~フィルディアーナ・プログラミング 譜田 明人 @ProgVanc
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