133.幕間6・神殿6
イベリアはアドラを探して
そのまま、何となく東の方へ飛行し、そして、ふと別の存在を感じ、昔の事を思い出した。
竜人国と交流のあったエルフの里が近いのではないかと。
彼らなら、龍の事も知っているはず。
イベリアは、苦しみつつも、エルフの里の方向を示す世界樹の存在が感じられる、東の方角へ飛んでいくのであった。
◇
史郎達は、世界を巡回した後、ケンブリアに帰還した。
各国との交渉はうまくいき、全11カ国による、セントリア連邦の樹立が決まった。
設立の知らせが各国で報じられた際には、お祝い騒ぎになった。特に魔導船航路への期待は高く、商人や貴族からの問い合わせに応えることは大変な作業だ。
しばらくは実務レベルの交渉や調整が続くことになり、実際の樹立記念式典の日程は数ヵ月後になることになるのであった。
勇者たちは学園へ戻り、学園生活をしばらく過ごすことになった。エミリアとミラーディアも学園生活を再開する。
そして、シェスティアも学園に入ることになった。年齢的にはちょうどいい年齢で、実力的にも申し分なく、特別Sクラスに編入だ。
史郎とミトカは特別講師として、たまに授業を受け持つのであった。
また、史郎は、アイーダと魔導通信機の改良、特に、同時通信による会議機能の付加に没頭した。連邦全体での定期会議、そして、次に事件があった場合に、中継をしたいと史郎は考えたのだ。
大事件は、現地からのリアルタイムの映像があれば、世界全体での危機感と情報の共有がしやすいと考えたからだ。
史郎は、当然魔導船の構築にも忙しくなった。もっとも、基本的に実際の船に対する改造になるので、各国からの船の提供と、改造スケジュールの調整などに時間を取られるだけではあったが。
船の提供は、主にフェリオリンズが担当した。もともと海に面しているため、海運業・造船業が盛んなのだ。
改造は、魔導具開発チームで担当することになり、定期的に各国を訪問することになるのであった。もっとも、そのたびに全員で旅行になっていたのだが。
アリアとアルバートは学園都市に滞在し、冒険者活動していた。史郎とシェスティア、琴音、さらには勇者達も、たまに依頼に参加して、経験を積むのであった。
ソフィアと、シェリナ、アルティアは、ソトハイムに戻ることになった。
史郎は、シルフィードI号をソフィアに譲渡したのだ。ソフィア達はそれに乗って喜々として、ソトハイムへ戻っていった。
もちろん、何かあった時にすぐに駆けつけることができるようにとの、史郎の考えだ。彼ら三人の戦力は大きいからだ。
こうして、史郎達は、つかの間の平穏な日々を送るのであった。
◇
史郎は、ゴーレム大山脈の神殿に一人で来ていた。転移を使うと、誰にも見つからずに来られるのだ。
史郎が神殿に入ったとたん、フィルミア様が現れる。
「史郎さん、珍しいわね、一人なの?」
「はい。実は、フィルミア様に一つ質問とお願いがあります」
「何かしら?」
「世界のリストアですが、設計と実装方法は、俺の元の設計と同じですか?」
「……そうね、同じよ」
「じゃあ、リストアポイントの設定は?」
「ああ、それね。残念ながら、少し異なるわね。あなたの設計は「富豪」的、過ぎるわ、さすがに任意の時点の、任意の数を作るという訳にはいかないわね。基本一つの時点だけだわ」
史郎は、自分が予想したとおりのフィルミアの返答に内心納得した。これで、同じ繰り返しが何度も発生した理由に思い当たったのだ。
「あぁ、やっぱり、そうですか。じゃあ、こういう方法があるんですが……」
史郎は、リストアシステムの改良点を女神フィルミアに伝え、それを聞いたフィルミアは、驚いて、喜々として変更を了承するのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます