20.スキル考察1
「さて、朝食もおいしくいただいたことだし、今日は再びスキルの検証をしたいと思う。が、その前に、ミトカ、どのくらいの間その状態でいられるんだ?」と史郎は聞いた。
ミトカが接触可能仮想現実機能で実体化していられる時間に、ふと疑問を感じたのだ。
「そうですね、史郎のそば半径30メートル以内なら、開発者ライセンスで魔力消費がないので制限がないです。それ以上離れると魔力消費が発生します。結構消費しますので、事実上無理かと。
もしARでの表示のみなら制限無しでずっとそばにいられますね! ……史郎にそう見えているだけですから!」と相変わらずの美しいほほ笑みで答える。
「なるほど……。とりあえずは最大限度が30メートルもあるんだったら、基本近くにいるから大丈夫だな」と史郎は確認した。
「はい!」とミトカ。
史郎は、当面検証しておくことが必要な事柄は何かと考えた。
まず、最大の問題は、「最大魔力量」だ。魔術を実運用するにはこれを増やす必要がある。そして、魔術以外の残りのスキルも必要だと考えた。
「気術、神術はこの世界でも当然使えるよな?」
「はい、使えますね」
「よし。それと、たしか異世界に行った時の必須スキル一覧とか昔作ってたような気がするが……」
「あ、はい、あります。表示しますね」
と、ミトカが言うと、テーブルの上にノートが現れる。
「おー、もしかして、これもTARか?」
「そうですね。その方が画面より見やすいですし、書き込みもできます」
といって、鉛筆も現れた。
史郎はさっそくノートを手に取って、リストを見てみた。
必須スキル:ヘルプ、探知&マップ&千里眼、察知系、収納(アイテムボックス)、隠密系、鑑定、偽装、生活(火、水、ドライヤー、クリーン、光源)、回復系、飛行系、攻撃系スキル・魔術、防御系スキル・魔術、身体強化系、各種耐性、障壁&結界、転移、錬金、念話
史郎は、今の自分の持っているスキルを省みて、既にそれなりに持っていることになるな、と思った。そして持っていないものから優先順位をつけることにした。
まずは、身体強化・耐性系。これらは気術系で実現できるスキルで、すぐに必要だと考えた。
次に、回復系。これは魔術で可能で優先順位は高いなと思った。
その次は、錬金術・鍛冶系で武器作成スキル。これも魔術だが、武器がない今これも優先順位は高い。
地味なところで、生活魔法も一応確認がいると考える。
最後に各種魔術の、実際のスキルの確認作業が必要だと考えた。
まだまだ検証することは多いなと少し憂鬱になる史郎であった。しかし、そんな気持ちを切り替えるようにミトカに質問した。
「ミトカ、最大魔力容量の隠れ拡張方法は設計どおりかな?」
「はい、そうですね。残り5%まで消費し、回復で0.4%増です。ちなみに、この世界特有の隠れ実装で、マナ魔力変換の操作で限界を少し超えるまで吸収、その状態を50秒維持で0.8%増が可能です。なお、限界までの吸収とその維持は結構高度な魔力操作が必要ですが」
「ほー、やはり魔力操作を使った方法もあるのか」
史郎は期待に少し気が晴れた。そして、
「消費する方法だと、魔力消費の大きい物質化か何かの繰り返しかな? 魔力回復は、回復ポーションが必要か?」
「いえ、マナ吸収魔力変換のスキルでも可能かと」
「え、そんなスキルあるの?」
「はい、まあ、ちょっと特殊なスキルと言えます。イデアスキルの機能ですね。イデアスキルのレベルが上がったので使えるようになりました」
「吸収する方法の方もそのスキルがいるってことか? で、限界を超えた状態を維持だけど、具体的にはどうするんだ?」
「マナ吸収魔力変換のスキルを発動すると、心臓あたりに風船のようなものがイメージで感じられます。それが膨れて限界を感じられるようになりますが、それを少し無理して膨らませる感じですね。魔力操作の安定したデリケートな操作が必要ですね」
「膨らませすぎたらどうなる?」
「破裂します……風船だけに」
「……」
「……冗談です。負荷がかかりすぎて、逆に容量が3パーセントほど減ります」
――冗談? あのAIのミトカが冗談だと? いや、何か使い方が違うような気がするが……。やはり、自我を持つというのは、こういうとこで違ってくるのか?
史郎は自分が考えている以上のやり取りをするミトカに驚いた。
「史郎……いえ、失礼しました」
「いや、大丈夫だ」
何が大丈夫かわからないが、まあ、大丈夫だと納得しようとする史郎だった。
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