38.スキル考察4

 史郎のスキルチェックの続きだ。


―― 生活魔術


「これは、簡単そうだな? 着火、ドライヤー、クリーン、光源、が代表的な物だよな? 水は既にできるからな」


「史郎、着火と光源はそれぞれの属性の基本魔術で、魔力を最小におさえて発動すれば簡単ですね」

 と、ミトカが笑顔で解説。しかし、と、続ける。


「しかし、まず、ドライヤーは風と分子運動調節の組み合わせなので、本当は簡単じゃありませんよ」

 と、ミトカ。


「そうだな……。風魔術で風を起こし、それを【発熱】で温めたらどうだろうか?」

 と、史郎は言いつつ試してみる。


 風の勢いと熱さに気をつけながらしばらく試して、いい感じになったので、これは【イデア】ツールで登録しておくことにした。そのまま【ドライヤー】。自動ではスキルにならなかったからだ。



「そして、最後のクリーンですが、やりたいことは簡単ですが、実装は難しいですね」

 とミトカは難しい顔をする。


 クリーンは、まず、汚れが何かを認識できなければならない。それが難しいのだ。


「まてよ、俺の場合、中級精霊がインストールされているよな。探知、いや、精密探知が要るな、そして、ターゲット補足、インベントリに格納して分解でできないかな? できれば常識をわきまえた精霊かAIが汚れとかを認識してくれればいいんだが……」

 と、史郎は思案し始めた。


「……」ミトカは黙り込んだ。


「……ミトカの処理能力って、一部分割できない?」

 史郎は恐る恐るミトカの顔色をうかがいながら聞いた。


「……史郎、確かにその方法で実現可能ですね……」

 ミトカははぁっとため息をつく。


「史郎、わかりました。やってみましょう。ゴミや汚れの除去程度、私の処理能力の一万分の一くらいで大丈夫です!」

 ミトカは微妙に怒りつつも、史郎の言うとおりに試してみた。


 そして、史郎と汚れについて議論しながら体や服に対して試行錯誤し、ついに満足する結果が得られたので、その術式をイデアツールで保存したのであった。




―― 障壁&結界


「シールド系は結構重要だな」


 史郎は真剣につぶやいた。


「すでに【障壁】レベル1があるから、これを大きく強く鍛えて、あとは数を出せるようにする、かな?」

 そういうと史郎は【多重発動】を使って、直径1メートルほどの円盤を4つ発現する。


「うぉっと、個別に動かすには練習が必要だな」


 やはりここのアイテムを別々に動かすのは難しい。いわゆる、右手で四角、左手で三角を描くというやつで、この場合見えない手4つすべてで別々の図形を描くようなものなのだ。


「ミトカ、ホーミングと同じ要領で、中級精霊が自動的にシールドを動かして防御するって可能かな?」と史郎はミトカに聞いた。

「史郎、可能ですね。おそらく、一つは史郎自身が、残りは中級精霊に任せるのがいいかと」

「了解」と史郎はその方法で動かす練習をするのであった。


 ――『【障壁】がレベル2になりました』

 ――『【多重障壁】レベル1 を取得しました』


「で、結界の方は、錬成の時に使った【結界球】を応用して自分の周り半径4メートルくらいに球状もしくはドーム状に展開かな?」


 というと、史郎は結界を展開する。


「お? 意外といけるか?」

「史郎、込める魔力で強度が変わります。意志力170で高度ですね」

「あー、なるほど。維持するのが大変だ」


 意志力が高いということは、高い集中力が必要だということ。それで結界として魔力を込めて維持するのは、高い集中力を保って瞑想しながら全力疾走するようなものだ。


 これも訓練が必要だなと思った史郎だった。


 ――『【防御結界】レベル1 を取得しました』

 ――『【結界球】がレベル2になりました』




―― 飛行系・転移系


「うーん、これは神術が必要だから、まだだめか」

「そうですね。当面は立体機動で動くのが正解かと」


 立体機動での、自身の位置情報の更新による移動を史郎は検証した。目に見える範囲でだいたい半径百メートル内で移動が可能なので、戦闘ではそれなりに使える。

 ただ、思念による3次元位置把握で直接位置情報を得ないといけなく、知らない場所や遠くへは更新できないのが欠点だ。

 

 また、シールドを踏み台にする方法でも、上空へ上がっていくことができる。もっとも、長距離や高高度はその方法では難しい。


「シールドの足場は、高度が高いと怖いな」

 と、史郎は感じた。


「史郎、万が一落ちた場合は、大きめの障壁を、大地起点で網状に展開すると、自身をキャッチできますよ」

 と、ミトカがアイデアをくれた。

「おー、魔力ネットだな? そういえば魔力ネット、魔力糸も男のロマンだったな」

 史郎は、ミトカのアイデアから違う方向へと意識が行き、そちらの方に力を入れるのであった。


 ――『【魔力ネット】レベル1 を取得しました』

 ――『【魔力糸】レベル1 を取得しました』




―― 各種耐性


「さて、最後は各種耐性だが……。 やっぱり、いろいろ食べたり、傷ついたりして、少しづつ習得することになるのか?」


「はい、史郎。そうなりますね。幸い史郎は【キュア】と【ヒール】がありますので、少しずつ慣らせば、耐性と回復系の魔術両方のレベルアップにつながるかと思います。私がついているので、史郎がだめでも私が回復系魔術を発動できますし、即死耐性で何とかなるかと」

 と、ミトカが安心していいのかどうかわからない説明をしてくれた。


「あぁ……、まあ、頑張るよ」

 史郎はそう言って、覚悟を決めるのであった。

 この後、数日にわたって、史郎はありとあらゆる毒系を鑑定しながら試し、それなりの耐性を身に着け、回復魔術のレベルをアップしたのだった。




 ==ステータス確認==

 スキル:【魔術】レベル3、【魔力感知】レベル3、【魔力操作】レベル5、【超記憶】レベル4、【概念言語】、【物質化】レベル2、【探査】レベル1、【鑑定】レベル2、【インベントリ】レベル1、【透明化】レベルMAX、【隠密】レベルMAX、【魔力制御】レベル1、【土魔法】レベル3、【水魔法】レベル3、【氷魔法】レベル3、【風魔法】レベル3、【火魔法】レベル3、【雷魔法】レベル3、【障壁】レベル2、【直観】レベル1、【予感】レベル1、【立体機動】レベル1、【錬成】レベル1、【形成】レベル1、【精密魔力操作】レベル1、【実体化】レベル1、【加熱】レベル1、【気術】レベル1、【気力感知】レベル1、【気力操作】レベル1、【身体強化】レベル1、【身体制御】レベル1、体術】レベル1、【気力纏】レベル1、【剣術】レベル1、【槍術】レベル1、【棒術】レベル1、【結界球】レベル2、【サイコキネシス】レベル1、【気力防御】レベル1、【集中力】レベル1、【瞑想】レベル1、【気力弾】レベル1、【精密表層実体化】レベル1、【多重発動】レベル1、【ターゲット】、【記憶力強化】レベル1、【写真記憶】レベル1、【光魔法】レベル3、【ロックオン】、【鎮痛】レベル1【解析】レベル1、【診断】レベル1、【ヒール】レベル2、【キュア】レベル2、【魔力纏】レベル1、【ストーンウォール】レベル1、【グラスウォール】レベル1、【3D地図】レベル1、【着火】、【光源】、【ドライヤー】、【クリーン】、【多重障壁】レベル1、【防御結界】レベル1、【魔力ネット】レベル1、【魔力糸】レベル1、【千里眼】レベル1、【第三の視覚UI】レベル1、【第三者視点】レベル1、【気配察知】レベル1、【魔力察知】レベル1、【危険察知】レベル1


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