ミトカ-AR人型ミニロボットバージョン

6A.ステータス表示/ミトカ1(AR人型ミニロボットバージョン)

「え? ミトカのバージョンアップ?」

 

 史郎が驚くと同時に、史郎の目の前の空間が光り出す。そして光の粒子が集まるように何かの形ができあがっていく。

 光が消えると、史郎の目の前に身長30センチほどの人型が現れた。

 背中に白い鳥の羽を持った、美少女だ。整った顔つきと長い髪。頭にはセンサーのようなものが二本着き出している。戦闘服のようなロボットのような衣装を着ている。


「え? なに? 天使……というか、ミニ・ロボット?」

「史郎、私です。ミトカです」とその人型ミニロボットがしゃべった。ミトカの声がより女性になった。


「えっと、ミトカ? 一体どうやって? というか、その姿は……どこかで見覚えが……」

 史郎は、混乱しつつも思案した。

「史郎、これはAR(Augmented Reality = 拡張現実)です。史郎にしか見えないですし、史郎としか会話できません。このモデルは、史郎が以前作っていたゲームのキャラですね。史郎の魂の魔術システムが無事起動されたので、私と史郎との間のUIも視覚が使えるようになりました」

 ミトカが笑いながら説明する。

 

「ああ、中学の頃作ってたゲームのキャラか……懐かしいな」

 史郎は昔を懐かしむ表情でつぶやいた。そして、

「というか、なんで女性なんだ? ミトカは中性、いや、どちらかというと少年のようにプログラムしてきたはずなんだけど……声まで、少女の声だし……」

「ふふふ。ひ・み・つ、です」と満面の笑みで答えたミトカ。

「いや、ひみつって……まあ、いいか。しかし、見えるっていいな! 今までの脳内の声だけよりも安心感があるし。……しかし、妙にリアルだな」

 史郎はミトカをマジマジと見た。

 

「はい、史郎のに直接映像を再現しています。史郎の周りの景色情報を元に正確にレンダリングされていますので、見た目は本物と変わりないはずです」


 そう、ミトカが言うとおり、全くの違和感なく、周りの景色に溶け込んでいる。色調、階調、輝度の全てで違和感ないのだ。

「これはすごい技術だな! いや、魔術か……。触れないんだよな?」

 史郎はそう言いながら、ミトカに触ろうと思わず手を伸ばす。そして、つかもうとしたが、その手はミトカの体をすり抜けた。


「史郎、いきなり乙女をつかもうとするのは失礼ですよ」とミトカが怒った顔で史郎をにらむ。怒りながら、彼女は史郎の周りをふわふわと浮かんで飛び回った。


「え? ああ、すまない。つい……。今度からは気をつけるよ」

 と史郎は謝った。

 

「ふふふ。まあ、いいです。まあともかくARなので触れません」

 

「だな。ただ、すり抜ける様子も妙にリアルだな。本当に手がすり抜けるように見えたぞ、影もあったし」

 

「そうですね。ARといえども、史郎のARシステムはこの世界では魔術での実装ですので、そのあたりのレンダリングエンジンも現実そのものに近くなるようですね。史郎のシステムの上位互換といえそうです」

 

 ミトカは相変わらず史郎の目の前をふわふわと浮かんでいる。その様子を見ながら、

「ああ、なるほどな」と史郎はつぶやいた。そして、

「しかし、このシチュエーションだと、妖精とかの容姿の方が合ってるような気がするんだが?」

「そうですか? でも、史郎。一度も妖精をモデリングしたことがないですよね?」

 ミトカはジト目で史郎を見た。

「……たしかに、言われてみれば、そうかも? つまり、モデリングデータが無いとダメだと?」

「そうです」ミトカは真面目な顔で答えた。


「ところで、俺の考えていることって、今までみたいにそのまま読み取れるのか?」

 史郎はこれまでのミトカとの会話を思い出し、聞いた。


「この状態でも以前と同じです。本体は史郎の中ですし。常時心を読んでもいいのなら、史郎がそのように許可すれば可能です」


「じゃあ、常に読んでてくれていいよ。その方が今の状況では便利だし」

「わかりました」とミトカは答えた。

 


 

「さて、それよりも史郎、ステータス表示の続きをしましょう。ここまでできたなら、あとはその魔力で目の前にディスプレイのようなものをイメージして、【ステータス】と言えば情報が表示できるはずです」


 それを聞いた史郎は、ステータス表示したいだけなのに、こんなに面倒なのはおかしくない(?)と疑問に思いつつも、まあいいかと気を取り直し、魔力をディスプレイ状イメージしてそれに意識を集中し「ステータス」と唱えた。


 すると、その魔力の形状が半透明なディスプレイのように実体化され、ステータスが表示されるのであった。


 

 ==ステータス確認==

 神川 史郎 人族(?) 男性 17歳

 レベル:1

 職業:エスエー

 生命力:100/100

 魔力:100/100

 気力:100/100

 物理攻撃力:100

 物理防御力:100

 魔法攻撃力:100

 魔法防御力:100

 器用:100

 敏捷性:100

 運:100

 状態:超健康

 スキル:【魔術:レベル1】【魔力感知:レベル1】【魔力操作:レベル1】【超記憶:レベル3】【概念言語】

 属性:無

 称号:【女神フィルミアの使徒】

 プラグイン:【初級魔術精霊】

 ユニークスキル:【イデア】レベル1、【即死耐性】レベルMAX、【ミトカ】レベル1

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