第184話

「....」


「....」


き、気まずい。いつもなら彩葉と帰るときは俺の方から話題を振って彩葉がそれに答えてくれるのだが彩葉と帰るのが久しぶり過ぎて振る話題が思いつかない....。最近はお互いそれぞれ予定があったり、生徒会の仕事もあまりなかったりして一緒に帰れてなかったからなぁ。何か共通の話題があるか考えているとこの空気に耐えかねたのか珍しく彩葉の方から話しかけてくれた。


「そういえば修学旅行が終わったら生徒会の先輩たちともお別れになってしまいますね」


「あ、そっか。すっかり忘れてた。先輩たち、もう受験生だもんなぁ」


今の生徒会のメンバーが変わってしまうのは少し怖い。後2人ぐらい俺らの学年から生徒会に入ってくるし何なら後輩も来るんだもんな。


「先輩たちとお別れする前にサプライズでお疲れ様会でもしませんか?」


「いいね!この前の焼き肉みたいにする?それともお菓子買って生徒会室でパーティでもやる?」


なんやかんや先輩たちにはとてもお世話になったし何か恩返し出来たらいいなとは思っていたし、そう言ったサプライズをするのはいいと思う。


「それは追々決めていきましょうか」


「確かに、今急いで決めることでもないしな」


「....」


「....」


1つの話題が終わり、また話すことがなくなる。何で俺はこんなに緊張してるんだろう?今まで何回も彩葉と帰っているはずなのに。いや、これは今考えることじゃないな。取り合えず何でもいいから話題を振ろう。


「彩葉は大阪に行ったことってある?」


「大阪には1度も言ったことがないんです。なので今回の修学旅行、とても楽しみなんです!唯桜君は大阪に行ったことはありますか?」


「俺は1回だけあるかな。でも親に連れられてイベントみたいなのに行っただけでしっかりとした観光はしたことないんだよね。あと単純に昔だから詳しく覚えてない」


あの時は物心ついたばっかりのガキだったからどこで何をしたとかそんなに覚えていないんだよな。だから修学旅行が初めての大阪と言っても過言ではない(過言)。


「楽しみですね!」


「これさ、生徒会会計の特権で俺だけが知ってるんだけどさ、修学旅行の予算、皆から受け取る分も合わせたらかなり余るんだよね。だから多分結構高級なホテルか旅館にとまれるよ。だいぶ前に変更されたはずだからそろそろ修学旅行のしおりが変更されるはず」


「そうなのですか!?それはラッキーですね」


そう、俺はこっそり自分たちの代だけいいホテルか旅館に泊まるために修学旅行の予算を多めにしておいた。今まで無駄なところに金をかけていた分をすべて修学旅行につぎ込んでやったぜ。来年はこの事実を必死に隠して、これがバレるのは少なくとも俺が卒業した後だから問題ない(問題しかない)。




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