第134話
「ごめんなさい」
彩葉は頭を下げて悠木とかいうやつからの告白を断った。まあそりゃそうか。俺もよく知らない人とは付き合いたくないし。でも安心したわ。あれ?安心した?なんで俺は彩葉が告白を断って安心してるのだろうか?.....友達として話したこともないような変かもしれない奴と付き合ってほしくないだけか。
「はっ!もしかして君の隣にいる人と付き合っているのか?」
は?何言ってるんだこいつ。偶々2人で帰ってたしそう見えないこともないかもしれないけど俺ごときが彩葉様釣り合うわけねえだろ。
「え!?唯桜君とは友達です!」
彩葉は顔を少し赤くさせながらどこか焦っているようにそう答えた。まあさっき周りに人がいる中告白されて少し恥ずかしいのだろう。
「唯桜?お前もしかして夜見唯桜か?」
「はい、そうですが何か?」
こいつ少し上から目線でうざいんだよな。俺普段あまり知らない人には興味がないから何とも思わないタイプだけどこいつは異常にムカつくわ。
「綾崎さん、こいつとは関わらない方がいい!夜見唯桜なんて俺らの学校でもクズで有名だぞ!!」
いつの間に他校に俺の名前が響き渡ってるんだよ。あーでも文化祭の時には俺がクズっていうことを他校の人が知ってたな。噂広まるの早すぎだろ。こっわ。でももうこの『綾崎さん!そいつと仲良くしない方がいいですよ!!』みたいなセリフは聞き飽きたな。
「私の友達を悪く言うのはやめて下さい」
これ、彩葉がちで怒ってね?いつものおしとやかって言うか天然って言うかそんな感じの雰囲気じゃなくなってるんだけど。
「でもこんなやつよりも絶対俺の方がいいって!」
うわ、火に油注いでる。あと俺のことこんな奴って言うな。噂だけで見ればただの終わってるクズなんだけどね。
「私の話、聞いてましたか?もう一度言います。私の友達を悪く言うのはやめて下さい」
「わ、わかった。い、いきなり来て悪かったな」
そういって悠木は自分の学校の方に急いで帰っていった。よっぽどブチギレ彩葉が怖かったんだろうな。俺も近くで見ててめっちゃ怖かったもん。って言うかこの人は別に悪い人ではないんだよな。彩葉が変な奴と仲良くしてるから助けてあげようとしただけだし。まあ余計なお世話だったんだけど。
「唯桜君ごめんなさい。私のせいで無駄に時間を取っちゃって」
「全然気にしてないから大丈夫だぞ」
「では一緒に帰りましょうか」
俺は何があっても彩葉を怒らせることがないようにしようと心に決めた。
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