第197話
「夕方まで自由時間だー!!」
「あれが有名な蟹極楽なのかぁ。みんなで写真撮ろうよ!!イ厶スタ乗っけていい?」
現在時刻午前10時、俺たちの班は大阪市のど真ん中で騒ぎまくっていた。テーマパークに来たみたいだぜ。テンション上がるなぁ〜。友達たちや不破は明らかに浮かれているが彩葉も顔に出ていないだけで楽しそうにしてる。
「次どこに行きますか?」
「やっぱりグ◯コの看板見たいだろ!行こうぜ!!」
「おー!」
彩葉の質問に浮かれている奴らが上機嫌で答える。こいつら絶対夕方までこのテンション保てないだろ。そんなことを思っていると不破たちはすでに目的地の方へ向かっていったので俺と彩葉が後ろからついていく。これは俺がみんなを見とかないと迷子が出そうだな。
「グリコの看板ってこっちで合ってるのか?」
「はい、地図がこっちの道を示しています」
俺は彩葉からスマホを手渡してもらい確認する。本当にこっちで合ってるわ。あいつらあっちのほうが人多いしあっちだろ的なノリで行ってるだろうからちょっと心配したが安心した。
「はい、スマホ返す.....ね?あれ、彩葉?」
彩葉に貸してもらったスマホを返そうとさっきまで彩葉がいた方を見るとそこには誰の姿もなかった。俺はどんどん前に進もうとする友達たちを急いで呼び止める。
「ちょ、お前ら一旦待て!」
「何か買いたいものでもあった?」
「いや、そうじゃなくて彩葉とはぐれた」
「「「はぁ!?」」」
目を少し離しただけでいなくなるってなんだよ!え?神隠しにでもあった!?
「と、とりあえず王女様に連絡を!」
「そ、そうだな!!」
友達にそう言われ俺は慌ててポケットからスマホを取り出した。ん?ポケットから?じゃあ俺がもともと手に持ってるものは.....?
「彩葉のスマホ、俺が持ってるわ」
そうか!ちょうどスマホを借りていたタイミングではぐれたんだった!!
「じゃあ王女様と連絡を取る手段がないってこと?」
「まあ.....あるといったら嘘になるな」
俺は少しきまりが悪そうにそう答える。
「ないのかよ!これってもしかして詰み!?」
「結構不味いっすね...」
班のメンバーも事の重大さに気付き慌て始めた。確かにあのしっかりしてはいるのだがちょっと抜けている彩葉を見知らぬ土地で1人にするのはかなり不安だ。
「と、とりあえず私たちは連絡が取り合えるから手分けして探そう!」
「そ、そうだなじゃあ俺は来た道をたどるから不破と楓は目的地の方に、お前らは右と左の道にいこう!」
「わかった!行ってくる!!」
不破の提案に乗り、俺らは彩葉を探しに向かった。
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