第6話 必勝法(笑)
「その必勝法って何ですか!?まじであいつら本気の殺意放って来るんすよ」
「ふっふっふ。その必勝法とは...」
「とは?」
ゴクリ。
「実際にその子と付き合っちゃえばいいのよ!そうしたら噂がただの事実になるわ!!」
「聞いて損しました。っていうか噂じゃなくてそれが本当になったら殺気を放たれるだけじゃなくて殺されますよ」
「えぇ!彼女できたことのない君にベストアイデアを教えてあげたのに!!」
「うるさいです」
その必勝法がゴミみたいな意見だったので先輩にそういう。俺と綾崎が付き合う?絶対そんな事無いって。
「あり得るかも知れないわよ。だって夜見君としか話さないんでしょ?ラブコメだったらこのまま行って5巻辺りで両思いになり8巻辺りで付き合い始めるわね」
何を言っているんだこの人。
「この世界は現実なのでそんな事起こりません。ラノベと現実世界の見分けもつかないようじゃもう手遅れですよ」
「辛辣ねぇ。年下なのに可愛げがないわ」
先輩とそんな事を言いあっているとお客様がやってきた。
「「いらっしゃいませ!!」」
―――――――――
翌日、朝。
「おはようございます夜見君」
今日も綾崎の方から挨拶をしてきた。ペアだから少しでも心の距離を縮めようとしているのだろうか。
「おはよう綾崎」
俺は挨拶を返す。そして昨日先輩に言われたことを思い出した。俺が綾崎と付き合う、か。うーーん。
俺は綾崎の顔をじっと見る。
「えっ!!急にどうしたのですか!?そんなに見つめられるとちょっと恥ずかしいです...」
綾崎の顔をじっと見続けると俺の中で1つの結論が出た。うん、無いな。俺の彼女にしては美人過ぎるし釣り合わない。何より俺は初恋がまだなピュアな男子だ。こんなことを考えてごめんな綾崎。心のなかでしっかり謝罪する。人間はよく性欲と恋愛感情を履き違えるからそれだけは絶対に無いようにしている。
「綾崎って目、綺麗だよな。透き通った青色で。ハーフなのか?」
さっき考えていた事は死んでも言えないのでとっさに別の話題を振った。
「私は日本の父とフランスの母のハーフなんですよ。だから髪も金髪ですし目も青色なんです」
まさかのフランスとのハーフ。俺はフランス語を話せるのでテンションが上がる。
「やっぱりフランス語は話せるのか?」
「はい。母はまだカタコトでしか日本語を話せないので」
ここフランス語喋って驚かせるか。今からでも反応が楽しみだぜ。
『実は俺もフランス語話せるんだよね』
俺は綾崎にフランス語で話しかける。将来、大人になると中学生の時の努力は全然無駄では無かった思えるはずだ。むしろ勉強してて良かったと思えると思う。日本語を入れて5ヶ国語話せたら大体どこの企業も取ってくれるだろう。
『凄いですね。いつ覚えたのですか?』
綾崎は驚いたような顔でこっちを見てくる。そしてフランス語で俺に話しかけてきた。
『中学生の時、今になると自分でも引くぐらい勉強しててその時に覚えた』
『普通、そんなに簡単に覚えれませんよ。やっぱり天才は違いますね』
『綾崎の方が頭いいじゃねえか』
そんな事を話しているとクラスの皆がざわつき始めた。
「ねえねえ、綾崎さんがフランス語?話せるのはわかるけどどうして夜見が話せるの?」
「まじで謎だな。夜見は頭いいとは思っていたけどそこまでとは思っていなかった」
「噂で日本語を入れて5ヶ国語話せるって聞いたことあるけど案外本当なのかも?」
「凄えな夜見。性格以外尊敬するわ」
「綾崎さんと話したいし俺もフランス語勉強しよう!!」
「夜見君は顔も頭も良いし性格さえ良ければ完璧な人間だったんだけどな」
俺がフランス語を話せることに皆驚いている。確かに俺も外国語話せる奴いると驚くしな。
「では私は自分の席に戻りますね」
綾崎が自分の席に戻る。
「唯桜っちいるー?」
俺が友達に話しかけようとすると教室のドア辺りから名前を呼ばれた。
「誰だー?ってええ!!」
俺は俺を呼んだ人を見て驚いた。ギャルでチャラい感じだけど誰に対しても優しくそして美人、誰もが知ってるこの学年のトップオブ陽キャだったのだ。
「初めましてー!!A組の不破音羽でーす!ちょっと唯桜っちに話があるんだけど良いかな?」
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