第141話

「お肉は私が焼くからひなりは待ってて!」


「嫌...静香はこの前全部焦がした....」


「それはそうかもしれないけど焼きたいの!」


「....ダメ」


「なんでぇ!?」


「まあまあ二人とも落ち着いて」


俺の前がにぎやかだな。山田先輩がお肉を焼きたいと言っているが小幡先輩がそれを嫌がっている。落ち着かせる高嶺先輩も大変だな。俺もさっき、焼きますよって小幡先輩に言っても断られたし意外と好きなのかな?さっきから俺の隣に座っている彩葉が少し静かだ。初めてファミレスに行った時の方がはしゃいでいたけどどうしたんだろ?


「彩葉、なんか元気ない気がするけど大丈夫か?」


「いえ、いつも元気だったのは初めて行くところであったからであって今回はいつも行くところなので落ち着いているだけです」


あぁ、そうだった。彩葉が叙〇苑によくいく位お金持ちってこと忘れてたわ。学校でのあだ名王女様だもんな。で、その王女様の隣に座っている会長の目が生徒会室でオセロした時以上に輝いているんだけど。多分滅茶苦茶興奮してるんだろうなぁ。


「夜見君...お肉焼けたよ......」


周りを観察している間にお肉が焼けたらしい。小幡先輩が皿に分けて渡してくれた。


「ありがとうございます。あとさっき注文する時に思ったんですけどちょっと頼み過ぎじゃないですか?」


さっきから店員さんがどんどん新しいお肉を運んでくる。食べるスピードが追い付かねえよ!あと全部高いんだから会計ちょっと怖いんだけど!!


「安心してくれたまえ夜見君。皆にはまだ言っていなかったが実は生徒会の経費で落ちるんだ」


え!?これタダ飯!?タダ叙〇苑!?キター!!無料だってわかった瞬間10倍ぐらい美味しくなったぜ!ん?なんかこんなこと前にも言ったような...。(120話参照)


「本当!?じゃあもう一回タン頼もう!」


山田先輩が目を輝かせながらそういう。タンって人気だよなぁ。でももうすでにかなりの量頼んでいるのに食べきれるのか?


「でも全部食べきれるでしょうか?残してしまうのはお店側にも申し訳ないですし...」


お、彩葉も全く同じことを思っていたらしい。気が合うな。


「そこは唯一の男の子である夜見君、よろしく!!」


すると山田先輩が俺の方を見ながらそういった。


「え!?俺そんなに大食いってわけじゃないっすよ!」


「まあまあ私って結構食べるタイプだから一緒にがんばろー!」


山田先輩そんなに痩せてるのに!?やべー、信用できねえ。帰り道俺が満腹で死んでいる姿が容易に想像できるな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る