第98話
「よっしゃ!お前ら行くぞ!!」
放課後、俺たちは3人4脚の練習を始めようとしていた。
「「おう!」」
両隣にいる友達が返事をする。俺真ん中だから両足とも思うように動かせないの怖いな。
「皆さん頑張ってくださいっす!」
「あまり怪我はしないようにしてくださいね」
後で俺と練習をする予定の彩葉と楓が見守っているしいきなりコケるようなダサいことにはならないようにしたいな。
「「せーのっ!!」」
「あ、ちょっと待って」
は?俺の片足もう進んでいるんだが?もう詰みじゃん!!
「「「うわぁ!」」」
案の定俺たちは前方に思いっ切りずっこけた。肩を組んでいるから手を前に出すみたいなダメージの軽減が出来ないし!
「いってぇ!顔面から逝った!!」
「何で進まなかったんだよ!?」
「靴紐がほどけてたんだって」
「事前に確認してろカス」
俺たちが言い合いをしていると彩葉と楓が救急キッドを持って駆け寄ってきた。
「擦りむいた所とかありませんか?」
「思いっ切り顔から逝ってましたけど大丈夫っすか?」
2人は俺たちに尋ねる。なんて良い奴らなんだ。
「イタタタタ。アシガイタイナー」
「うっ、俺の足が悲鳴をあげている!!」
「お前ら棒読みと迫真の演技やめろ」
こいつら女子二人に手当てしてもらいたいからって何ともないのに怪我をした振りをしてやがる!!ここまで己の欲望が滲み出てるともう清々しいな。
「唯桜君顔擦りむいちゃってるじゃないですか!」
「ほんとっすね!早く消毒しないと駄目っす!!」
どうやら俺の顔に怪我があるらしい。めっちゃ痛いって訳でもないしそんな大事ではないと思うけどな。
「ちょっと染みますが我慢してくださいね」
そう言うと彩葉は消毒液を染み込ませたティッシュで俺の顔を拭きガーゼをつけた。消毒液が傷口にしみるのは想像の3倍痛かった。まじで舐めてた。
「いいなぁ夜見」
「俺がわざとコケて怪我したら手当てしてもらえるのか!?」
「それだけは俺に迷惑だからやめろ。コケるなら1人でコケとけ」
それで何回もこけられたら真ん中にいる俺に大量のダメージが蓄積するではないか!
「怪我をしないのが1番っすから次はコケないように頑張ってくださいっす!!」
「「「もちろん!!」」」
いつまでも次に行かないのもあれだしもう一度立ち上がって各自準備をする。
「よし、行くぞ!せーのっ!!」
俺の掛け声とともに前に進もうとすると俺の友達に縛られている足が両方とも前に進み思いっ切りずっこけた。いってぇなぁ!!
「またかよ!!」
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