第75話
「うわっ!次体育かよ。だっる」
「夜見ってなんでもできるくせに運動神経はごみだもんな。ざまあねえぜ」
そう言って俺達は学校指定のジャージに着替える。体育とかそういった運動系は昔から苦手なんだよな。思ったように体が動かなくてこけたり足が絡まったりしてしまうし。
「その点、お前の勉強のライバルである王女様は運動もできるし性格も良いし完璧じゃね?」
「お前調理実習俺と綾崎と同じ班だったよな?あとライバルではない」
「た、確かに料理だけは完璧じゃねえな。もはや包丁振り回してたし...王女様が怪我をしてしまわないか怖かったぞ」
そうやって話しながら着替えているとほかの友達に声をかけられた。
「お前らそんなにゆっくりしてると体育遅れるぞー!」
「行きたくねえなぁ」
めんどくさいし遅れても良い気がしてきた。
「今行くー!こいつ引きずってでも絶対連れて行くから先行っといて!!」
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「ちょっ!敵来すぎ!!夜見っ!パスっ!!」
「えっ!?」
俺は味方にパスされたボールを反射的に受け取る。今日は男子がバスケットボール、女子がバレーボールだった。体育館の半分半分で分けられている。バスケってコート上でプレイする人数が少なめだからサボれないんだよな。今みたいにパス出されるし。男子もバレーが良かったんだが!?ぼ、ボールどうしよう...と、とりあえずゴールまでちょっと遠いけど記念にシュートしてみるか。ええと、確か右手は添えるだけって聞いたような。
「えいっ」
俺が投げ方を思い出しながら適当に投げたボールは綺麗な弧を描き奇跡的にゴールの中に入った。おぉ!マジか!?才能の塊かもしれん。
「ナイス夜見!!」
「いえい」
俺は笑ってピースをする。もうこんなこと俺の人生においてないかもしれないから調子に乗ってもいいだろう。
「おぉ!!」
「かっこいいと思ってしまったら負け...」
「あれは夜見あれは夜見。かっこよくないかっこよくない」
「夜見君ナイスシュートです!」
偶々女子のバレーの休憩時間だったらしく俺がシュートを入れたところが見られてたっぽい。綾崎の声も聞こえる。
「おい!女子見てるぞ!!」
「よっしゃぁ!」
「どうやら俺の本気を見せる時が来たようだな」
「お前ら単純すぎるだろ」
急にさっきよりもやる気を出し始めたクラスメイトを見て思わず突っ込む。この試合は男子たちが女子にかっこいいところを見せたいがためにパスを全然出さなかったのでこの後俺にボールが回ってくることはなかった。もうずっとこれで良いわ。
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