第193話

「唯桜っちじゃん!こんなところでどうしたの?」


「部屋で休まないんですか?」


「!!」


俺は誰かに声を掛けられて咄嗟にソファーの後ろに隠れる。あいつらもうここまで追いかけて来たのか!?...あれ、でもあいつらだったらもう襲って来てるはず。俺は疑問に思い声を掛けられた方向に顔を出す。


「あぁ不破と彩葉か」


声を掛けてくれたのはこの2人だったようだ。俺は同室の奴らではないことに一安心する。


「唯桜っちはどうしてここにいるの?」


「何かにおびえてたみたいですし....」


2人にそう尋ねられた。まあ説明しない理由もないし説明するか。


「部屋に残ってたらなんか皆が恋バナしようぜって感じになったんだけどそのターゲットにされたんだよね。で、全員に質問攻めされたからここまで逃げて来た。で、なんで2人はここにいるの?」


「私たちは自動販売機で飲み物を買いに行く途中です」


自販機は1階にしかないらしな。俺もついでに何かジュースでも買うか。


「じゃあ俺もついていこっかな。いい?」


「いいよ!じゃあ一緒に行こう!!」

_________

彩葉はミルクティー、不破と俺はコーラを買った。さて、どうしようか。またエントランスのベンチにすわってゆっくりするか。俺がそう思っていると不破がとある提案をした。


「あ!私いいこと思いついた!!今から私たちの部屋でトランプするんだけど唯桜っちも来る?」


「いいですね!じゃあ部屋に戻りましょう!」


「は?」


おいおい勝手に話が進んでるんだが!?俺が女子の部屋に行ったら絶対盛り下がるって!!ま、まあ彩葉と不破の2人部屋の可能性もあるし....。


「2人の部屋は何人部屋なんだ?」


「7人部屋ですよ?」


「行けるわけねえだろ」


俺は即座にツッコむ。っていうかそもそも男子って女子の部屋に行ってはいけないんじゃないのか。知らんけど。


「じゃあまた____」


「私たちの部屋はこっちだよ」


「一緒に遊びましょう!」


2人は俺が帰ろうとするのを阻止して両腕を掴んで引っ張る。力尽くでやられたら彩葉より力弱いし何なら不破よりも弱そうなんだから無理なんだって!!どうやって抵抗するか、どう言い訳して逃げるか考える間もなくすぐに部屋に着く。


「皆さんただいま戻りました」


先に部屋の中に彩葉が入った。


「音羽ちゃん彩葉ちゃんおかえりー!」


彩葉の報告に部屋の女子たちも明るく返す。もし俺がいることが判明したらすぐにこの明るさがなくなるんだろうな。


「唯桜っちも連れて来たよー!」


「無理やりすぎるだろ。これ何かの法に引っかかってもおかしくないぞ」


俺は力では勝てないので文句を言って最後まであがく。


「「「「え!?」」」」


不破の言葉と俺の存在に2人と同室の女子たちが驚きの声を上げた。

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