第173話
「唯桜っちって実は優しいところあったりする?」
「実際は全く悪口も言わない聖人なのに噂がめっちゃ回ってるんだよ」
よし、これで真剣に質問について答えないことによって答えを聞いても真実がわからないだろう。やっぱ俺頭良い!!
「そうだとしたら皆酷いね!」
いや、その噂俺が流したから酷いって言うより思ったように噂が回って助かるって思ってるんだけど。
「っていうかお前俺がクズじゃなかったら俺なんてどうでもよくなるだろ」
「そんなことないよ!!私ね、この前気付いたんだけど......」
え?何々!?怖い怖い!!あんな質問もしてきたし実はクズじゃないってバレていたのか!?....いやいや落ち着け。それはない.....多分。
「最初は私のタイプが唯桜っちだったから好きだったけどこうやって遊んだりする間にタイプが唯桜っちなんじゃなくて唯桜っちがタイプになったの!」
不破は俺の目を見てそういった。いつも可愛い不破が更に可愛く見える。そうなんだったらもう不破と付き合ってもいいんじゃないか?だってこの前断った理由は俺は本物のクズじゃないからだし。
「だからさ、唯桜っち。私と付き合って!」
不破はよく俺に告白をするがこれは今まで通りのノリみたいなやつではなく心の底からガチで言っているのだと感じた。不破はこれだけ俺のことを好きでいてくれてるんだ。そう思い、告白に了承しようとすると脳裏に彩葉の姿がよぎった。え?どうして?俺と彩葉はただの生徒会の仲間であり友達のはずなのに。でも、こんな中途半端な気持ちで付き合うのはよくないよな。こんなに真剣に告白してくれているのに断るのが申し訳ないという気持ちでいっぱいだ。でも、ここで了承してしまうとこの先もっと申し訳ない気持ちであふれかえってうまくいかないだろう。ここは心を本当のクズにするところだ。相手の気持ちは今は考えない。
「ごめん。俺よくわからないけど好きな人がいるかもしれないから」
「そっかー、そうだよね。急にごめんね?気まずくなっちゃったし.....」
不破は落ち込んで頭を下げる。声もかすれ、今にも泣きそうだ。
「気まずくなんかないだろ。状況を考えてみろ。いつもと一緒だ。また今日みたいに遊ぼうぜ」
俺は単純に不破と遊ぶのは超楽しいしこれからも仲良くやっていきたいな。
「た、確かに....うん、私のやることは変わらないね。前と一緒だ。唯桜っち!絶対に惚れさせてやるんだからね!!」
そう言うと不破は帰っていった。明日の終業日、学校で話す機会があればいつも通り話そう。
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