学校でクズを演じている俺、クラスの王女様に実は優しいことがバレる

第70話

班の女子に炒めてもらっている野菜に火が通ってきた辺りで肉じゃがにかかせない肉を投入する。ちょっと焼けてきたら水ぶっこんで砂糖ぶっこんでアルミで蓋してあとは待つだけだ。料理はレシピ通りやれば誰でもできる。

「じゃああとは待つだけだよ。もう使わないだろうしまな板とか洗っておこうぜ」

「おぉ！夜見が料理できるのは以外でしかなかったけどちゃんと出来てるじゃん」

「正直ここまで料理できるとか思ってなかった」

「お前ら舐めんなよ！」

「夜見君は合宿のときも手際よく調理してくれましたからね」

班の皆が俺のことを褒めてくる。レシピ通りやれば料理とか誰でもできるって！......綾崎は無理かもしれないけど。あのあと使った皿やまな板を洗って待っていると肉じゃがが完成する時間になった。俺は蓋を取る。

「はい、かんせーい！」

「とても美味しそうです！！」

確かに美味しそうだ。これは完璧だな。この肉じゃがが不味い訳がない。

「これで不味かったら夜見殺すわ」

「おい勝手に俺の命を賭けるな」

「早く食べましょう！！」

俺は綾崎にせかされて肉じゃがを皿によそう。これでこの肉じゃがが不味かったら俺の人生が終わるのか。

「おい夜見！他の班の肉じゃがを見てきたけどここぐらい見た目がいい班はなかったぞ！！煽ってきた！！」

「お前はほとんど何もしていないだろ！他の班を煽りに行くな。よし、じゃあ食うか」

「「「「いただきます」」」」

俺達は肉じゃがを口の中に入れる。

「お、美味しいです！！」

「うっま！」

「美味しい」

よかった。死を回避できた。俺はまだこの人生を楽しむことができそうだ。...確かに美味しい。

「上手く作れたな」

俺の班の肉じゃがはうまく完成したようだ。さっきあいつから聞いたから他の班の肉じゃががどうなっているのか気になってちらっと見たけどじゃがいもの煮込みすぎで崩れてしまったりしていた。ちゃんと時間測らないと！！

「ごちそうさま」

俺は皆が食べ終わった皿を洗う。

「夜見が思っていた数倍料理出来るしこれでクズじゃなかったらモテてたと思う」

友達が俺に皿を持ってきたときに俺に向かってそういった。

「お前と仲良くしてあげてるだけで優しさの塊だろ」

「俺もお前と仲良くしてあげてるだけですー！！」

「本当に仲が良いですね。見ててほっこりします」

「「どこが！？」」

綾崎にそう言われて俺と友達がハモる。こいつとハモるとか誠に遺憾だ。仲が良いって思われることも誠に遺憾だけどな。