第50話

「「夜見!?」」


全員が驚き一瞬教室が静まり返るがすぐにざわざわしてきた。


「夜見ってあの人間として終わってる夜見か!?」


「よくよく見ると夜見の面影はあるね...」


「一瞬でもかわいいと思った俺を殺したい!!」


クラスメイトの反応を見るに全員気づいていなかったようだ。ちょっと悲しいな。


「お前ら流石に俺ってこと位気付けよ。俺だって傷つくぞ」


「いやいや、不可能だから!!」


「声も夜見だ!本当に夜見だったんだ!!」


恥ずかしいからまだ自分の女装させられた姿を鏡で見てなかったけどそんなにも変わっているのだろうか?


「夜見君、本物の女の子みたいですよ」


会長やみんなの反応を見るからにはそうなんだろうけどさ、綾崎のメイクすごすぎないか!?だってこんな俺が女子に見えるってことだろ?


「もう着替えてきて良いか?早く脱ぎたいんだが」


「ダメです。折角メイクまでしてあげたんですからもうちょっとこのままでいて下さい」


俺からメイクしてって頼んだわけではないんだけど!?


「ちょっと身長が高い女子って感じだな。夜見ってわかった瞬間キモイって思ったけど」


「喋らなきゃ可愛いの普通にキモイな」


うん、俺でもキモイと思う。でもそろそろ俺しか女装してないことにムカついてきた。まずまず俺は女装に反対してるんだからな!!お前らにも同じ地獄を味わわせてやるぜ!!


「次はお前らの番だぞ!早く着替えて来いよ!嘲笑ってやるからなぁ!!」

________________________

「今日はひどい目にあった」


「おいおい、唯桜!どうしたんだよ」


俺は今日は偶々クラブがなかった零と一緒に下校していた。


「俺のクラスが男装女装カフェすることになったことは知ってると思うけど一番最初に俺が女装させられて公開処刑された」


俺が今日起きたことを零に話すと急に爆笑し始めた。こいつ殺してやろうかな?


「はっはっは!!はぁー面白。俺絶対に文化祭本番にお前のクラス行くわ!」


「いや、来んなよ!?」


「それってフリだよな?」


「そんなわけないだろ馬鹿かお前は!?」


冗談じゃない!文化祭当日仕事ぶっちしようか考えてるぐらいなのに!!


「唯桜、安心しろ。俺のクラスの奴らと一緒に行ってやるから」


「もっとダメだろ!!」


俺たちはそんな会話を繰り広げながらそれぞれの家へと向かった。なんか綾崎にクズのふりしてるってことがバレたあたりからろくな事しか起こってないな。テストの勝負に申し込まれたり、合宿で密室に閉じ込められたり、女装させられたり、なんでこうなってしまったんだ!!

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