学校でクズを演じている俺、クラスの王女様に実は優しいことがバレる

第143話

「あぁ？お前、調子乗ってんじゃねえぞ？」

男は俺をにらんでそう言ってくる。ビビったら負けビビったら負け...。そう自分に言い聞かせる。

「調子に乗ってるのはどっちだよ。お前らの小さい脳で考えてみろ」

引けねぇー！だってさっきもうあんなこと言っちゃって更に中指を立てちゃったからここで逃げることできねえじゃん！！大きな声で注目を集めて逃げてもらおう大作戦取ろうとしたけどそもそも日本人は事なかれ主義の人が多いから騒いでいても目を合わせようとせずに離れていくし！！もうこれ無理じゃね？俺が無事に解決することをあきらめ、皆が逃げれるようにとにかく時間を稼ごうとしたその時、かなり近めのところから声が聞こえてきた。

「あそこで男たちと揉めてるのって我らが高校代表、クソゴミカス人間の夜見じゃね？っていうかよくよく見たら生徒会じゃね？」

「うわ、あの男たち終わったな。相手が夜見とか喧嘩売る相手間違えすぎだろ」

「あの人たちに明るい未来はないだろうなぁ。普通に人生詰みだな」

「大学生っぽい人たち、地獄の果てまで追いつめられるの確定じゃん」

「夜見、ヤクザとつながってるって噂もあるぞ」

「え！？まじか！？...あーでも全然あり得るか」

俺達の高校の生徒らしい人たちが俺らの方を見て、そう言いながら通って行った。おい、聞こえていないように言っているつもりだろうけど全然聞こえているからな。まずヤクザとつながってるってどんな噂だよ！！見たことすらねえよ！！俺がその噂に心の中で突っ込んでいると男たちの後ろの方にいたやつが俺をにらみつけてる奴に耳打ちをした。

「こいつがヤクザ！？」

耳打ちされた男は俺の方を見ながらそう声を上げて驚いた。まじどんな誤情報だよ。噂ってこんな感じで広まっていくんだな。

「やばい奴らと関わったか！？俺は帰るぞ！！」

「俺も！！」

「顔は覚えられてないよな！？」

そういって男たちが帰っていき、残ったのは俺と喧嘩してた男１人になった。クズって噂もたまには役に立つんだな。何でこんな展開になったのかいまいちよくわからないけどまあここまで来たら簡単だ。

「お友達帰っちゃったけどお前も逃げなくて大丈夫なの？」

「っ！くそっ！！」

あたかも自分が本当にヤクザみたいな雰囲気で男に語り掛けるとその男は逃げて行った。奇跡的に全員無事で何よりだ。

「皆さん、大丈夫ですか？」

俺は彩葉と先輩たちが無事か確認する。

「僕は大丈夫だよ。あと、夜見君、ありがとう」

「....本当に助かった」

会長と小幡先輩がそういった。皆の反応を見る限り、全員大丈夫そうだ。マジでよかったぁ。

「あ、あの夜見君」

帰ろうとしていると山田先輩から話しかけられた。

「まさか、さっきの奴らになんかされましたか？」

「ううん、そうじゃないんだけど....夜見君ってその、本当にヤクザなの？」

「そんな訳ないに決まってるじゃないですか！！」