第105話

「じゃあ第一レースの人たちはスタートラインに並んでください」


運営の人に言われ俺達は事前に教えられていたスタートラインに立つ。もうすぐレースが始まる。本番でこけるっていうことだけは避けたいな。もしこけたらダサいし負けるという最悪の事態だ。


「お前ら本番中にふざけるなよ」


こいつらだったら前にいる奴を煽りながら抜かしたり後ろにいる奴に「ねぇ、今どんな気持ち?負けてるのどんな気持ち?」とか言ったりしそうだもん。いやぁ最高に民度がよくてロックなやつらだぜ!


「ここまで練習しといてふざけるわけねえだろ」


「今周りちょっと見たけど上級生含め全員ヒョロガリだから余裕だわww」


こいつら始まる前から1位を確信してやがる。まあ自信があることはいいことか。


「位置についてよーいドン」


合図とともに俺達は走り出す。順調に前へ躍り出た。この調子でいけば勝てる!メンツのうちの1人が「なんか掛け声ってださくね?」と練習の時に言ってそこから掛け声無しでできるように練習したらめっちゃ速くなったんだよな。よし、俺は真ん中だからあまり力は入れずに二人の足についていく感じで...あれ、もう目の前ゴールじゃん!後ろの人たちの掛け声もめっちゃ小さいしこれ勝ったわ!


「よっしゃー!1位!!」


「ひゃっほー!」


「1位以外は雑魚!1位以外は雑魚!!」


俺達はゴールテープを切り無事1位になった!やったぜ!!...お前、最後の発言めっちゃかっこ悪いぞ。俺達はちょっとずつ減速して止まり、足の紐を外した。


「案外手ごたえなかったな」


「圧倒的だったぜ!俺達最強!!」


友達も1位になって喜んでいる。結構2位と差がついてたからそんなに加速する必要なかったし俺はもう一回あるから体力を温存出来てうれしいな。


「俺はじゃあ彩葉と楓が待機してるところ行ってくるわ」


「そっちも絶対勝てよ!」


「1位取れたんだから次も行けるぞ!!」


「おう!じゃあ頑張ってくる!!」


俺はそう言って彩葉たちの場所へ向かった。

__________________

「唯桜さん1位すごかったっす!」


「唯桜君おめでとうございます!」


「ありがと。あいつらにも後で言ってあげて」


あいつらも練習頑張ってたしな。そんなにストイックに練習すると思ってなくて意外だったけど。こっちのチームでも男チームと同じぐらい練習したから1位も十分あり得るな。


「あ、唯桜君結ぶので足出してください」


「おっけ」


俺は彩葉に言われたまま足をだす。よし、2回目も頑張るぞ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る