第182話

「そのファンクラブの本部、教えてくれない?」


「え!?何でですか?」


「いや、今のうちに潰しておいた方がいいかなと思って」


俺がそう言うと1年は少し困ったような顔をした。


「わかりました」


悩みつつ何とかオーケーしてくれた。この謎団体の処理が遅れるだけで尾行され、盗撮され、クズじゃないのがバレるとかいう即死コンボが始動してしまう。気合入れていくかぁ。

_____________

気まずい移動も終え、俺は本部の学校の空き教室についた。一番偉い人には移動中に今から俺が行くことを伝えているらしい。作った人が不破とかだったら意外とちゃんとしてるから全然放置でもよさそうだけどそんな感じしないしな。誰なんだろうと思いながら俺は空き教室のドアをあけた。


「夜見様!初めましてわたくし、このファンクラブを設立しました新名にいななつです。以後お見知りおきを」


初めましてかよ!そんな奴がなんでファンクラブなんか設立してるんだよ!おかしいだろ!!


「あー、早速お願いなんだけどさ」


「はい!私達、総勢25名の会員が何でも行います!!」


え?25人もいるの?下校の途中に発見した4人とお前で5人だけだと思ってたんだけど。やっぱり読モしたからかな?雑誌って意外と影響力すごいんだな。


「話が早くて助かるわ。じゃあこのファンクラブ、今すぐに全員脱退して潰せ」


「夜見様の言うことならなんでも.....え?」


「聞こえなかった?今すぐ全員脱退して潰せ」


俺はさっきよりも強い口調で新名に言った。ここで渋られても俺には最強の兵器がある。それを振りかざしたら流石に命令を聞いてくれるだろう。


「それは.....ちょっと.......」


やっぱり渋るか。じゃあ必殺!警察に通報脅し!!


「こっちは盗撮までされてるんだよ。証拠も押さえてある。俺の言うことを聞く方が警察に通報されないし、そうした方がいいと思うけどなぁ」


完璧に決まった!俺の勝ちだ!!あとは写真も消させてデータも消させていっちょ上がりだぜ!!


「か、解散しますので警察だけは.....」


「じゃあ写真とそのデータ全部消したら通報はしないであげる」


ちょっと上から目線で脅すの疲れてきたな。.....駄目だ!まだクズになりきらないと!!


「わ...かり...ました.......」


はいビクトリー!!そのあとは本当に消してるかどうか、捨ててるかどうか確かめるために俺が確認した。よし、これで面倒なことになる前に潰すことができた.....もう面倒なことになっていたのか?ま、まあ実害はあまりなかったし良しとするか。

__________

この事件をきっかけに夜見ファンクラブのクズが好きなメンバーたちはもっと夜見のことを好きになるだなんて本人は思ってもいなかった。

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