第92話
「お水も買ってきていますからどうぞ」
俺が綾崎から薬を受け取ると綾崎は持ってきていたビニール袋から水を取り出し渡してくれた。ありがてぇー。
「本当にありがとう。薬代と水代はしっかり払わせてもらうから」
「いえいえ大丈夫ですよ。困ったときはお互い様ですし。もし私が熱を出したりしたらその時はお願いしますね」
「わかった。その時は出来るだけのことはするよ」
まあでも綾崎が熱を出すかどうかは決まってないし今度何回かさらっとジュースでも奢ってあげよう。
「夜見君、ご飯は食べていますか?」
綾崎が来る直前までうどんを食べていたからな。あ!多分だけど姉貴あの人と遊びに行っているからご飯作ってくれないよな。姉貴は馬鹿だから多分俺が熱出てること忘れてると思うし。
「うん、さっきうどん食べた。まあ夜ご飯は適当に何か自分で作るよ」
「それなら私が何か食べれそうなものでも作りましょうか?そばやおかゆぐらいは作れますよ!」
「うん、遠慮させてもらう」
もしおかゆを作らせて綾崎がやけどでもしたら大変だ。そう、俺は熱だがちゃんと意識がある。このなんでも完璧にこなせそうな綾崎は料理が本当に下手だ。熱で頭がぼーっとしててもこのことを忘れてなくて良かった。もし忘れていたらと思うとぞっとする。
「そうですか...あっ!忘れてました!プリンとゼリーを買って来たのですが食べれそうですか」
そういわれると急にプリンが食べたくなってきたな。今度絶対借りを返そう。申し訳ねぇ。
「僕プリンで!」
「わかりました。スプーンはプラスチックの物があるのでそれを使ってください」
「ありがと」
俺は綾崎からプリンと一緒にスプーンを貰い、礼を言う。プリンうめぇ!しんどさとか飛んでいったわ!
「夜見君、少し顔色がよくなりましたね」
「綾崎が来てくれたおかげだよ。本当にありがとうな」
本当に姉がいないときに面倒を見てくれた綾崎には感謝しかない。確かにあれだけ面倒見てもらったら顔色がよくなるはずだ。
「えっ!あっそうですか!それはよかったです」
綾崎は顔を赤くしてそういった。えっ!綾崎に熱うつしたか!?やべー!友達に殺されるー!!
「顔赤いけど大丈夫か!?」
俺は少し近づいて綾崎の顔を除きながら聞く。
「だっ大丈夫です!!」
「本当に?それならいいけど...」
「それよりも!顔色がよくなったけれど熱があるということには変わりないと思うので寝てください」
「じゃあそうさせてもらおうかな」
「ではこれだけ渡して私も帰りますね」
そういって綾崎が学校の課題を渡してくる。二日連続で来てもらってマジで助かったわ。
「綾崎、本当にありがとう」
「明日は学校で会えたらいいですね。それでは!さようなら」
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