第158話

びっしょびしょに濡れた俺達はくそ寒かったけどイルカショーは最後まで見たいから寒さに耐え、彩葉と相談してショーの終わりを見届けることにした。


「今からこのショーを見ているお客様にイルカに指示を出してもらおうと思います!!」


へぇ、イルカショーってそういった客にやってもらうのもあるのか。確かに盛り上がりそうだなと思っているとショーをしているお姉さんがこちらを見てスピーカーを使って話しかけて来た。


「そこの前に座っているびしょ濡れのカップルさん!前に出てきてもらっても大丈夫ですか?」


これってもしかしなくても俺達のことだよな。びしょ濡れだし無知晒されてるみたいでめっちゃ恥ずかしいんだけど。あと絶対に断れないし。彩葉はどう思ってるんだろう?俺はそう思い、チラッと彩葉の方を見た。うん、めっちゃ目を輝かせている。めっちゃやりたそうだ。っていうかこれ俺達が呼ばれていることに気付いているか?しゃあねえ、行くか。


「これ多分呼ばれてるの俺達だわ。行くぞ」


「え!?わ、わかりました!!」



俺が立ち上がってそう言うとと彩葉も呼ばれていることに気付き、俺についてくるように前に出た。


「このカップルさんに今回はやってもらおうと思いまーす!!」


俺達が前に出るとショーのお姉さんがそう言った。あとさっきからずっとカップルカップル言ってるけど付き合ってねえから!!


「えぇ!?あの二人めっちゃ美男美女じゃん!」


「2人ともどこかで見たことがあるような.....ファッション雑誌だったっけ?」


「げ、夜見!?......と王女様!?!?」


客席が少しだけどよめく。な、何か客席から聞こえたような気がしたけど気のせいだよな!!普通に俺達のことを知ってる同じ学校の人いるように思えるのは気のせいだよな(現実逃避)!!........いや、だってこの水族館が学校から一番近いって言ってもちょっと遠いよ!?誰かいるとは思わなかったんだって!


「そ、それでは今からレクチャーしていきます!(人選ミスったかな?)」


「よ、よろしくお願いします」


彩葉がしっかり返事をする。俺は彩葉がやってるのを近くから見るだけで別にいいかな。そう思って彩葉がお姉さんにレクチャーしてもらっているのをゆっくり見ていた。でも、手の動きを見てそれによっていろんな行動をするって本当に頭がいいんだな。


「それでは、本番やりますよ!3・2・1どうぞ!」


お姉さんの掛け声に合わせて彩葉は円を描くように手を回した。それに合わせているかは上からつるされてある輪っかをくぐった。えぇ!すっご!!


「成功しましたー!!皆様、拍手をお願いします!!」


お姉さんがそう言うと、会場に拍手が鳴り響く。うれしそうな彩葉の顔を見て、心の底から誘って良かったと思った。





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