第3話 原因
「何で綾崎さんがあのクズと一緒にいるの!?」
「おいおい、王女様がクズと廊下を歩いているぞ!!」
「今まで考えたこと無かったけど夜見君、顔も頭もいいし綾崎さんと関わるのは結構当たり前じゃない?.......でも普通あのクソゴミカスクズと一緒に居ないよね」
「まさか...付き合ってる...とか!?」
「綾崎さんにそんな趣味があったなんて!!」
「流石にそれだけはないだろ。相手が夜見だぞ」
やっぱり綾崎と一緒にいると注目される。だってめっちゃざわざわしてるもん。俺は人気のないいつも昼飯を食べている屋上に続く階段まで綾崎を連れてきた。誰も付いて来ていないか確認をする。
「ここなら誰も来ないな。おい綾崎、何で昨日の事を知っているんだ?」
「昨日、夜見君は中学生を助けましたよね?あの子私の妹なんです」
「え!!」
俺は絶句する。あの子が綾崎の妹だとわかっていたら助けていなかっただろう。そう言われれば確かに目つきがかなり似ている気がする。
「で、でもこの学校の人とはわかっても俺だということはわからないだろ」
確かに俺はその時制服を着ていた。しかしまだ俺であるという確証は無いはずだ。
「夜見君は最後にケーキを妹にあげましたよね?そのケーキに付いてあるチョコプレートに『夜見』と書かれていましたのでもう誰かすぐわかります。実は優しいのですね夜見君?」
あっ!チョコプレート貰ってたの忘れてた!!
........あははははははーー。俺の青春終わった。
「すまないがこの事を誰にも言わないでくれ!頼む!この通りだ」
この事を拡散されないよう頭を下げてお願いする。
「顔を上げてください。どうしてですか?人助けは、優しいことは良いことでは無いですか?」
綾崎の優しいオーラが溢れかえっている。くそっ!純粋過ぎて直視出来ねぇ!!
「俺がクズの振りをしているとみんなにバレたら学校で浮くことになるから、お願いっ!」
本気で綾崎にお願いする。頭良いんだから察してくれ!
「ふーん、そういうことなんですねぇ。しかしどのような理由があろうと嘘をついたり、人を騙したりしてはいけませんね。私そういう人が大嫌いなんです」
綾崎の綺麗な目から光が消える。どうやら嫌われたようだ。まあ自分は嘘で出来ているようなものだからな。嘘つくような人が嫌いなのであったら俺は嫌われても仕方ない。最早人助けのことを広められないだけでいいんだ。
「お前が俺のことを嫌おうが元々そんな関わって無かったんだしほとんどの女子から嫌われてるしどうでも良いけどさ、あの事を広めることは辞めてくれ」
「わかりました。約束は守ります。もう話すことも無いと思いますけどね」
そう言って綾崎は去っていった。助けたことを広められないのであったらもう一生綾崎と関わらなくてもいいだろう。元々関わる予定がないしな。さて、いつもの日常に戻るとするか。
「何話していたんだ!?」
「王女様と付き合っているなんて事は無いよな?なっ?そうであってくれぇ!」
「お前王女様と接点あったのかよ。一生恨む」
「おいお前ら野球部からバット持って来い!!木じゃなくて鉄のやつだぞ!!」
教室に入った途端に質問攻め。ん?最後の方質問じゃなくてただの○害予告では?...怖すぎだろ。俺が考えているよりも数倍、綾崎は人気らしい。しかし、俺は最強の嘘をもう考えている。
「どうやら人助けしてた人が俺に見えたんだとよ」
「何それそんな事あるわけ無いじゃん」
「な~んだ。ただの見間違いか」
「つまんねーの。みんなー解散解散」
よし!予想通りの返答が帰って来る。クズキャラを利用した最強の言い訳が決まった。ヘイト管理バッチリだ。心の中でガッツポーズをしていると先生が教室に入ってきた。
「そろそろ朝礼だぞー。みんなー席につけー」
俺のクラスの担任は田中先生だ。化学の教師で授業が分かりやすい。俺は号令が終わったので着席する。
「じゃあ今から今度行く合宿のペアを発表するぞー!」
そうだったそうだった。合宿があるんだった。この学校の合宿はちょっと変わっていて学校からペアが指定される。そして指定されたペアの人と寝るとき以外、行くときも、帰るときも、ご飯を作るときも、食べるときも一緒に行動するらしい。因みに寝るときは男子は男子、女子は女子で山小屋でざこ寝するらしい。地獄じゃん。
「うちのクラスは男子と女子、両方とも奇数なので1組男女のペアができるがしかたのないことだからなー。文句言うなよ」
異性となった人、気まずくなりそー。ジェンダーの時代だけどやっぱり思春期だからな。
「じゃあまず男女のペアから発表するぞ。くじで決まったことだからな。ええと、綾崎、夜見。この二人がペアだ。」
「はぁ!?」
今先生何て言った!?
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