第170話

俺と不破は2人でカラオケまでやってきた。


「いらっしゃいませ」


「2時間の学割コースお願いします」


俺は店員さんにそう言う。


「わかりました。でも、今学生割引よりキャンペーンでやってるカップル割引の方が安いのですがいかがでしょうか?」


「だってさ、唯桜っち」


.....なんかこいつと遊ぶときどこに行ってもカップル割がある気がする。なんでだよ!!まあ安い方にするんだけどさぁ!!


「じゃあそっちでお願いします」


実際は付き合ってないしだましているようで申し訳ないがまあ安くなったんだからいいか。


「お部屋は203号室です」


「わかりました」


俺は入った時間と出る時間がかかれている紙を受け取って言われた部屋へ向かう。


「ここが203号室か」


203号室を見つけたので部屋の中に入る。


「やっと、二人っきりになれたね」


「そういう雰囲気にしようとすな」


不破マジで何してくるかわからないから注意が必要だな。おすすめの場所があるって言ってラブホにつれていくようなやつだからな。


「とか言って唯桜っちも期待しちゃってるんじゃないの~?」


「してるわけねえだろ馬鹿が」


俺は表面上はクズだが根はまともな男、付き合ってもいないのにそういうことをするのはよくないからな(真面目)。


「えぇ、ちょっとそこまではっきり言われたら流石の私でも傷つくんですけど」


あのドMの不破でも傷つくことがあったなんて!これは反省しないといけないな.......いや、これ俺悪くねえわ。っていうかこいつ最近ドMじゃなくなってきてね?


「お前最近まともになってきた?」


「え!?最初はまともじゃなかったってこと!?」


俺の言葉に不破は驚く。お前がまともだったらこの世にいるほとんどの人がまともだよ。


「まあドMだったし」


「まあ、それはそうだったかもしれないけど今はうまく隠せてるでしょ」


「そ、そうだな(棒読み)」


っていうかカラオケに来たって言うのに全くうたってねえな。まあ雑談がメインになってしまうのはカラオケあるあるだな。


「私、本気で唯桜っちのことが好きだから」


「きゅ、急にどうした?」


何でいきなり告白!?前からずっと知っていたが面と向かってはっきり言われると流石に動揺する。え、これ顔に出てないよな!?


「もうどんな手段を使ってもいいかなって思ってね」


隣に座っていた不破が俺を押し倒す。


「うわっ!」


え!?これどういう状況!?少し申し訳ないが力を入れて不破をどかそう。フンッ!あれ?びくともしない。くっそ俺が非力すぎるせいで押し返せない!とにかく退いてって不破に言わないと!


「ちょっと重いから退いてくれない?あとここ監視カメラあるらしいよ」


焦ってる雰囲気は出さず、余裕を持っているかのように話す。そして監視カメラ設置の文字が目に入ったのでそれを伝える。


「私ここのバイトしてたから知ってるけど監視カメラ実は無いんだよね」


どうしよう。ここは少し強引だが体を思いっきりひねって横に転がるか?いやでもそもそもそれでも退かせれるかわからないし不破を怪我させてしまったらいけないし。っていうかこんなにも女性のこと拒絶するって失礼にあたるんじゃないか?俺がものすごいスピードで頭を回転させていると部屋のドアが開いた音がした。店員が入ってきたと思ったのか不破はすぐさま俺の上から移動した。俺はソファーに寝転んだままドアがある方向に顔を向ける。


「ごめんなさいね。部屋を間違えました」


「え!?紲星さん!?(登場117話)」


「えぇっと.....読モの夜見君!?」



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