四月七日

 風が強い。舞ってくるのは向かいの家の桜。椿もおなじ愛らしい春色で落ちている。

 りるりるりる。なんの鳥か鳴く。遠くできじの声。


 これを書いているとき、ちょうどおもての田んぼに水が入りはじめた。

 明るい真昼のくもり空。その銀色を映した水が、甘茶色の土のうえに広がっていく。

 もう風でさざ波が立つ。音も立つ。つばめが二羽、あおられても飛んでいく。


 昼すぎ。風がやんで晴れた。水田にはじめての青。

 くさの音がすると、わたしも物を書いてばかりはいられなくて、茶や菓子を配りに外に出る。

 ハクセキレイとツグミらしいのが一羽ずつ、さっそくこの新しい水辺で遊んでいる。

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