十月七日、八日

 七日。

 栗の渋皮煮が食卓に並ぶ。昨日共演した方からいただいたもの。大粒のどれも苦味が一切ない。まろやかで口へ運ぶのが楽しくなる。

 夕。散歩。すこし見ないうちに、台風で倒れていた木はみんなすがたを消した。どこへ運ばれていったやら、日暮れに黒めく曇りにさみしい気もちとなる。


 八日。

 畦にひらいたすすき。秋風にゆれる、影もゆれる。聞こえやしないか、なにか言うのが。畦のへり、川べりで……。

 ふと怪談話がしたくなった。田を焼くにおい、鍬のはいった畑のにおい、そういったものが可笑しみをもって語りかけてくるような気がする。

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