十月一日、二日

 一日。

 台風はってすずしい晴れ。さみしいのは、満開だった金木犀きんもくせいがみんなってしまったこと。

 風があんまり強かったのだろう。地一面花の色とはならずに、どこまでもどこまでもうすく、ちりぢりに飛ばされている。香りも流れてしまった。


 二日。

 朝。青空に白い半月。ゆっくりと村のようすを見て歩く。

 近所の庭木が数本、ひとつ方向にたおれかかっている。道向こうの栗の木は、長い枝を風に折られている。根元からひっくり返る背の低い桜もある。

 ひとと集まれば、どこの屋根がはがれたの、どこが停電しているのといろいろに聞く。川の水はまだ茶色くはげしい流れのままある。

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