九月三十日

 早くから雨戸をめきり部屋にこもっている。雲のうえでは風導管ふうどうかんがうなりをあげて、大気をごんごん運んでいる。

 うえばちそうどう、飛ばされていきそうなものは、いよいよになって物置へと片付けた。家のなか、台所には作り置かれた非常食がテーブルに乗りきらなくなっている。


 夜が深くなる。そとの様子はひどくなる。すきかぜ途切とぎれることなく高く鳴く。雨は砂利でも混じってぜてるように、家じゅう打ちつけて止むことはない。

 枕元にそなえたランタンの灯りをしぼって、肩まで布団をあげる。こんな日は早くねむるほかない。大事ないようにと祈りつつ目を閉じる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る