七月十日、十一日

 十日。

 近所でとうもろこしの収穫しゅうかくがはじまって、うちにもおすそ分けがあった。ありがたい。黄いろなつぶがつやつやとして湯気ゆげを立てるのは、いかにも食べてもらいたいようで浮かれた気もちになる。

 肝心かんじんな自分のところの畑は、長雨でか瓜類うりるいがほとんど駄目だめになってしまった。ただ、バナナ瓜(まくわ瓜)だけはせいがよくている。上はすぼんで下ぶくれ、片手にはみだすくらいの実が、もうすぐじゅくす。


 十一日。

 夏の夜の精が、こけや細い草のさきを燃やして、すいりょくをつくって飛びまわる。たまにくるったようなのがいるのは清水しみずっているのだろう。あれはかれらには清酒さけと同じだから。

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