五月九日

 朝。風が強い。しなっている薔薇ばらに支えを足す。もう少しでしまうところだった。雨の前にと、家のひとがほとんどを切り花にしていたのが、頭を軽くしてよかったのだろう。


 図書館で本を借りる。『ちくま日本文学全集 稲垣足穂』(筑摩書房)……筑摩のこの全集は好きで、佐藤春夫のと宮沢賢治のを持っている。

 交流のあるかたが好きだという短編たんぺんふくまれていて、たしかに読み心地がいい。

 なんとなく夢見る気もちになる。ぬくい紅茶を飲む。立夏のくもり空は低く優しい。

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