四月二十二日

 山間をいくと紫の花をさげた背高せいたかの木が目につく。杉ばかりの道だというのに、いく本も、ところによっては密集して、あたりの色をりかえている。

 よく見ると野生らしい藤が杉林にいるのだった。こずえまでいのぼるふさふさした花弁は、なにか霊気じみたものを感じさせる。


 暑い。これからの季節は苦手で物を書くのがおっくうになる。

 ためしに手記を見てみると、夏のうちは本当に作品が少ない。本を読んでばかりいる。それでもいいかとも思う。

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