一月二十九日、三十日

 二十九日。

 数年前にいた水彩画を幾枚いくまいか出してくる。近々、出番がありそうなので手入れをするため。

 随分ずいぶん前にしたこと、ばらばらに見えることを拾いあげていくと、未来への手引きになるのは案外のところ。


 三十日。

 近所の店は、もう水稲用の土を売る。考えてみれば立春がすぐそこまで来ている。そうなれば田植えの時期までは早いもので、レンゲ畑をきまわす横で種まき、育苗の仕事。

 あぜ道がタンポポやつくしの遊び場になって、村一面にあおくむ水鏡の季節になる。

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