一月二十七日、二十八日

 二十七日。

 木肌をつたう湧き水は夜中にこおる。山はねむりながら、そのきしりを聞く。

 風のみちに蝋梅ろうばいが落ちる。ほたほたと。山は睡りながら、その音を聞く。

 家にいだかれる火はまきいている。山は睡りながら、そのうたを聞く。


 二十八日。

 夜。北の山のうえにおおぐま座。寒いけれど宙の散歩でもはじめそうな輝き。

 どこへいこう。……セント・エルモの双子から、甘い琥珀の話をされる。そそのかされて南へいこう。いたずらっ子が落っこちた、ポプラの森のエリダヌス。(琥珀はポプラの涙です。)ずっと下ってアケルナル河の果てまで。……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る