十月十一日、十二日

 十一日。

 通りがかりの畑。草むらのなかに赤い自転車が立っている。そこにえるくりの木は台風でからだの三分の一なくなった。

 すこし歩く以外、部屋でなにか書くか読むかしている。先日むかえた木彫りの小鳥が机にある。白くて、くちばしと尾とあしとが金。黒々うるんだ目がまろい。


 十二日。

 暗くなったころ、外へ出て宇宙ステーションを探す。東へわたる「きぼう」。となりるひとと手をふってみる。宇宙に向かって合図をするなんて大事おおごとだと笑った。


 天は深くに日をおとす

 雨はつたつた銀になる

 花は残らず目をふせる

 山はだまって黒くなる

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