三月十二日

 鏡のなかの朝と青空とをぼけまなこに映している。なめらかなうぐいすの声。ひ、ひ、ひ、と高く聞こえるのはなに鳥か。

 道ばたの白木蓮はくもくれんが咲くのを今かいまかと待っていた。歩き出に見あげればそらにむかってこぼれる無垢むく花肌はだ。この植物がもつ白のはかなさは、溶けた冬のとむらいをあらわす。

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