九月二日

 夕の散歩。用水路はうつす暮れの空気をてらてらと流していく。

 空には赤い薄雲うすぐもがある。綿めんの色つきだ。あれは天のじんが糸をつむぐのにお使いになる。……


 しばらくすると、見えるところの赤みはみんな冷えたやみのあおになる。そのなかで、まだられていないの金がほのかに浮かびあがってくる。

 もう暮れをさみしがるせみの声もせず、山の虫のみ村じゅうで鳴いている。

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