九月三日

 偶然ぐうぜんに、出先で友人と会う。お互い山向こうに住んでいるわけでもないのに、二年ぶりの再会となった。

 いまなにをつくってるの、と彼女。わたしが節操せっそうなく手を出す性質たちだと知っているからではあるけれど、「ものをつくっているひと」だと思ってくれていたことが、単純たんじゅんうれしい。

 再会のよろこびに、思わずれた手の華奢きゃしゃさ。わが子を見つめる横顔のやわらかさ。別れ際に選ぶのは、「ばいばい」ではなく「またね」だというその心も。

 会わないあいだに、変わっていくもの、変わらないもの、たくさんあるうちにも、確かなしんを持つひとだ。

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