三月三十日、三十一日

 三十日。

 椿つばきは落ちても緑の草の、たとえばりゅうひげなどのうえにいつまでもある。そのほかのうすく溶けやすい花のきれと異なって、いつまでも花のかおをしている。

 川沿いの桜が咲きはじめた。根もとにすみれ蒲公英たんぽぽを遊ばせている。きょうは風が強い。


 三十一日。

れた、とれた」と近所から、いただく土の匂いで台所に立つのが面白くなる。あるもので、あるように、ごちそうを支度する。野蒜のびるの醤油漬けと、独活うどの酢味噌和え。吸いものには三つ葉を添えて、緑の滋味じみ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る